【とっても難しい】クルマにとっての、コスパとは? 注目のノート/フィット/ヤリスを比較してみた

公開 : 2020.12.13 05:45  更新 : 2021.10.22 10:13

コスパの優劣、どう決めるべきなのか

クルマのコスパは多岐にわたるので、優劣を決めるのは難しい。

例えば売れ筋価格帯が200〜250万円のシエンタと、400〜550万円のアルファードで、コスパの優劣を判断するのはほぼ不可能だ。

「大勢で乗車できて、価格が200万円ならシエンタのコスパが勝る」というのは短絡的だろう。

シートの座り心地や内装の質、乗り心地まで、アルファードはさまざまな機能を上質に仕上げているからだ。

つまりコスパの勝負が成り立つのは、ボディサイズ、エンジン排気量、基本的な機能、価格などが似通っている同じカテゴリーのライバル同士だ。

アルファードならエルグランド、シエンタではフリードが比較相手になる。

ただしそれでもコスパの結論を出すのは容易ではない。基本的な機能や価格が似ていても、内外装のデザインや質感、シートの座り心地、乗り心地、走行安定性などの優劣が車種によって異なるからだ。

基本性能の劣った設計の古い車種に、装備をたくさん装着して、価格を安く抑えてもコスパが優れているとはいえない。

デザインや走りなどが一定の水準に達していて、比べやすい関係になっていることも不可欠だ。

注目のノート/ヤリス/フィット比較

ライバル車同士でコスパを比べやすいのは、今ならコンパクトカーの日産ノート/トヨタヤリス/ホンダフィットの3車種だろう。

全車が同じカテゴリーに属していて、ボディサイズや動力性能も同程度だ。すべて2020年に発表された新型車だから比べやすい。

車内と荷室の広さは、1位がフィット、2位はノート、3位はヤリスになる。

走行性能と乗り心地は、1位がノート、2位はフィット、3位はヤリスだ。

安全装備は1位がヤリス、2位はノート、3位はフィットになる。

このように3車種の機能を比べると、いずれも一長一短になっている。

価格はノートがeパワーのみになることから、必然的に全車をハイブリッドで比べる。

ノートXが218万6800円、ヤリス・ハイブリッドZは229万5000円、フィットe:HEVホームは206万8000円だ。

この価格の順列をそのままコスパに当てはめることはできない。装備内容が違うからだ。

特に注意が必要なのはノートで、運転支援機能のプロパイロットが、Xのみにオプション設定されている。

ヤリスやフィットでは、車間距離を自動調節できるクルーズコントロールや車線の中央を走れるようにパワーステアリングを制御する機能は標準装着されるが、ノートでは別途オプション装着せねばならない。

しかもノートのプロパイロットは、インテリジェントルームミラーやカーナビとセットになり、セットオプション価格が44万2200円に達する。

この中には後方の並走車両を知らせる後側方車両検知警報などの安全装備も含まれるが、高額なセットオプションであることに変わりはない。

プロパイロットを割安に装着したいユーザーにしてみれば、ノートはコスパで不利になってしまう。

ノートはLEDヘッドランプも、アダプティブ機能(ハイビーム時に照射範囲を自動調節して対向車などの眩惑を抑える機能)とセットになって、オプション価格は9万9000円だ。ノートXにこれらのオプションを加えると、総額は272万8000円に達する。

ちなみに、ほかのオプション価格をベースにして、ノートのプロパイロットの正味価格を割り出すと6万8500円だ。プロパイロット単体では割安で、コスパも優れているが、複数の装備とセットオプションにしたことで選びにくくなった。

このようにコスパは、オプション設定の仕方によっても変わる。ノートの残念なところで、コンパクトカー3車のコスパ順位は、1位がフィット、2位はヤリス、3位がノートになってしまう。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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