トヨタ『GRヤリス』用に新2.0Lエンジン開発 ハイブリッド化の可能性も

公開 : 2025.03.18 06:45

トヨタは欧州市場などの厳しい排出ガス規制に対応するため、GRの高性能モデルに新開発の2.0Lハイブリッド・パワートレインを導入する可能性があります。

欧州の排出ガス規制に対応

トヨタは厳しい排出ガス規制に対応するため、高性能サブブランドの『GR』のモデルにハイブリッド・パワートレインを搭載しようとしている。

このパワートレインは、トヨタが開発中の新しいターボチャージャー付き4気筒エンジンをベースとし、次世代のスポーツカーには排気量2.0Lのバージョンが採用される見込みである。

トヨタGRヤリス
トヨタGRヤリス

すでにミドシップのコンセプトモデル『GRヤリスMコンセプト』で実証済みのエンジンで、開発では「故障するまで」負荷テストを行ったとされている。

この新型エンジンは、プラグインハイブリッド(PHEV)とマイルドハイブリッド(MHEV)の両方に対応でき、トヨタの現行エンジンよりもピストンのストロークが短いため、小型軽量化を実現している。

プロジェクトに携わるGRエンジニアの山田寛之氏は、ハイブリッド要素は最小限の重量ペナルティで搭載できるため、こうしたエンジンの軽量化は重要だと指摘する。

同氏は次のように述べている。

「(このエンジンは)未来のハイブリッド車に採用できます。排出ガスを考慮すると、将来的にはモータースポーツ活動にも使用することになるでしょう」

「わたし達が開発したこの技術は、モータースポーツと乗用車の両方のエンジンに適用します。将来的には、GRモデルのエンジンをより燃費の良いものにしたい」

エンジンの技術的な詳細についてはまだ公表されていないが、報道によると、最高出力は市販モデルの場合、約400psに達するとのことだ。

ハイブリッド化が実現すれば、欧州市場の購入者にとって朗報となるだろう。現在、最高出力280psの1.6Lターボエンジンを搭載しているGRヤリスは、同市場において厳しい排出ガス規制により限られた台数しか販売されていないからだ。

トヨタ英国部門の責任者であるスコット・トンプソン氏はAUTOCARの取材に対し、英国市場にとってGRブランドは「非常に重要」であり、「人々はそういったタイプの車両を所有することを望んでいます」と語った。

「GRヤリスは、ブランドにとって非常に素晴らしいものをもたらしました」とトンプソン氏は付け加えた。

同氏は、ラインナップのハイブリッド化により、英国への割り当て台数が増える可能性があるとした。このようなモータースポーツ由来の技術がトリクルダウンしていくことは、「ブランドの運営とサポートという観点で非常に重要」との考えだ。

GRモデルにハイブリッドを搭載するという計画は、トヨタが以前から検討してきたことだ。2023年、副社長兼CTOの中嶋弘樹氏はAUTOCARの取材で、「ハイブリッドシステムは、環境対応に優れたソリューションであり、乗用車だけでなくスポーティなクルマにも適しています」と語っていた。

また、GRヤリスMコンセプトで試されたミドシップエンジン方式も、市販モデルへの採用が検討されている。コンセプトでは、後部座席の後ろに新型2.0Lターボエンジンを搭載している。

しかし、まだまだ改良すべきことはたくさんあると山田氏は言う。例えば、長いコーナーで荷重が移動するとコントロールを失う傾向にあり、山田氏はそれを「神頼み」の瞬間と呼ぶ。

MコンセプトはGRヤリスのさらなる発展を示唆しているようだが、かねてから噂されていたMR2復活のためのテスト車両として開発された可能性もある。ミドシップスポーツカーのMR2は、昨年5月に市販化が承認されたと報じられている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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