【特筆に値する5台の国産4WD】前後トルク配分に込められた開発者の熱き想い!

公開 : 2025.01.24 12:05

冬の雪が多い時期に頼もしく思えるクルマといえば、やはり4WDです。そこで三十年余り自動車メディアに携わってきた木原寛明が、とりわけ印象深かった4WD車をピックアップ。今回は国産車編として5台をご紹介します。

4WDシステムがクルマの特性やデキそのものに影響

冬の雪が多い時期に頼もしく思えるクルマといえば、4WDであろう。確かに4WDはFRやFFなどの2輪駆動車と違い駆動力を4輪が受け持つため、滑りやすい路面ではトラクションが掛かりやすいし、エンジンブレーキも4輪に分配されるため、安定した減速ができる可能性が高い。正式なカテゴライズではないが、外観からは2WDとの違いがわからない、とりたてて高出力でない4WDのことを我々の業界では『生活四駆』と呼ぶことが多い。

一方で、スーパースポーツカーやハイパフォーマンスセダンのほとんどが4WDを採用している。高いハンドリング性能を備え、有り余るパワーを4輪に伝える。こちらは速く安全に走るための4WDであり、生活四駆とは分けて『スポーツ四駆』ないしは『ハイパワー4WD』などと呼んでいる。

筆者が過去取材してきて、とりわけ印象深かった4WD車をピックアップ。
筆者が過去取材してきて、とりわけ印象深かった4WD車をピックアップ。    スバル/三菱自動車/トヨタ自動車

また、オフロード車、クロカン車ではもちろん4WDが主流だ。泥濘地や道なき道を切り拓いて行くにはタフなボディや足まわりはもちろんのこと、4WDシステムもセンター・デフロック、リア・デフロック、フロント・デフロックを備えたヘビーデューティーなシステムが望ましい。こちらは『オフロード四駆』、もしくは『クロカン四駆』というふうに区分したい。

筆者はこれまで、それなりに多くのクルマに試乗してきたが、試乗の舞台は一般道であったり、サーキットであったり、オフロードコースであったり、まちまちだ。三十年余りこの業界にいるが、試しに国産車、輸入車でとりわけ印象深かった4WD車をピックアップしたら、国産車が5台、輸入車が5台で都合10台が思い浮かんだ。

案外少ないが、選んだクルマを改めて見ると、先に記した『生活四駆』は1台もなく、9割方『スポーツ四駆』ないしは『ハイパワー4WD』であった。なるほど、このカテゴリーのクルマは4WDシステムがクルマの特性やデキそのものに影響しているのだと思った次第。ならばこの10台を紹介することは大変意味のあることだ。

今回は国産車5台について、クルマの概要と選んだ理由、インプレッションをお届けする。

スバル・インプレッサWRX STi(2000~2007年)

インプレッサWRXは、センターデフにプラネタリーギアと電子制御で作動制限を行う電磁式LSDを組み込んだフルタイム4WDである。

前後トルク配分は型式、年式によって若干異なるが、基本的にリアに多めにトルク配分を行う。初代モデルの途中から『DCCD(ドライバーズ・コントロール・センター・デフ)』が採用されており、コックピットに設けられたダイヤルで、フリーからほぼ完全直結の4輪駆動までコントロールすることができる。型式によっては前後駆動力配分を自動でコントロールする機能を持つものもあり、よりイージーに速く走ることができる。

スバル・インプレッサWRX STi(2000~2007年)
スバル・インプレッサWRX STi(2000~2007年)    スバル

筆者がもっとも好きなモデルは、STIが2005年に製作したコンプリートカーの『S203』と2006年に製作した『S204』だ。乗りこなすのは難しいが、サーキットなどで思い通りのラインを描いて走れた時には、強い高揚感が味わえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    木原寛明

    Hiroaki Kihara

    1965年生まれ。玉川大学では体育会ノリの自動車工学研究部に所属し、まだ未舗装だった峠道を走りまくった。最初の愛車(本当は父のもの)は2代目プレリュード(5MT)。次がフルチューンのランサーEXターボ。卒業してレースの世界へと足を踏み入れたものの、フォーミュラまで乗って都合3年で挫折。26歳で自動車雑誌の編集部の門を叩き、紙時代の『AUTOCAR JAPAN』を経て、気が付けばこの業界に30年以上。そろそろオーバーホールが必要なお年頃ですが頑張ります!
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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