【モデナの快音を手中に】マセラティ・グラントゥーリズモ 英国版中古車ガイド

公開 : 2021.03.05 08:25  更新 : 2021.07.12 18:45

モデナで育まれた極上のV8サウンドを比較的手頃な価格で手中に収められるのが、グラントゥーリスモ。英国編集部が、中古車の注意点をご紹介します。

モデナ生まれのV8をお手頃価格で

text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)

 
発表から12年以上が経過した、マセラティ・グラントゥーリズモ。今なら英国では1万5000ポンド(216万円)以下で、生産初期のクルマが買える。最終型を選ぶと価格は5倍以上もするが、見た目は大して違わない。

もちろん、イタリアン・エキゾチックに価格だけで手を伸ばすのは軽率。古いクルマほどリスクもつきものではある。高くても、リスクから完全に開放されるわけではないが。

マセラティ・グラントゥーリズモ(2008〜2020年/英国仕様)
マセラティ・グラントゥーリズモ(2008〜2020年/英国仕様)

それでも、マセラティ・グラントゥーリズモは驚くほどお手頃といわざるを得ない。近い関係にある、フェラーリ・カリフォルニアに並ぶほど。しかもフェラーリとは違い、マセラティの場合はエントリーモデルでもなかった。

筆者が記事を執筆時、英国には1万3500ポンド(194万円)の値段のついた1台があった。走行距離は9万1700kmで、安価に済む修理が必要だという初期のグラントゥーリズモだ。

もちろん、これだけでは判断できない。美しいボディは、その内側の恐ろしい実態を隠していることもある。些細な不具合であっても、マセラティの場合は多額の費用が必要になることも多い。

長期間放置されていたことで生じる、潜在的な故障のタネにも気をつけたい。オイル漏れや電気系統、交換されていない消耗部品や、すり減ったクラッチなど。

グラントゥーリズモの乗りやすさは素晴らしい長所だが、短所にもなる。イタリアン・サラブレッドの安さに惹かれた一部のオーナーは、所有履歴やメンテナンスに気を配らないことも少なくない。

特にマセラティなら、時間をかけて観察・確認しておきたい。多少のリスクを承知で安価な初期型を選ぶも、悪くはないかもしれないが。

グランカブリオならダイレクトに

発売開始から1年後、グラントゥーリズモには高性能なSグレードが追加された。V8エンジンの排気量は4.2Lから4.7Lへ拡大し、35psと3.0kg-mアップの最高出力440ps、最大トルク49.8kg-mを獲得している。

サスペンションやブレーキ、トランスミッションもアップグレードされ、動的性能が引き上げられた。トップグレードのSは2012年にパワーアップし、グラントゥーリズモ・スポーツへ改名されて生産終了まで継続している。

マセラティ・グラントゥーリズモ(2008〜2020年/英国仕様)
マセラティ・グラントゥーリズモ(2008〜2020年/英国仕様)

今なら、このSでも2万2000ポンド(316万円)程度から購入できる。

走行性能も悪くはないが、グラントゥーリズモ最大の魅力はV8エンジンの咆哮。特に4.7L版には抜けられないような中毒性がある。ルーフの開くグランカブリオなら、さらにダイレクトに楽しめる。

グランカブリオは車重の増加や走行時の洗練性、犠牲になった荷室など、妥協もなくはない。しかし大きく開いたキャビンには大人4名が快適に座れ、爽快なドライブを楽しめる。日常的に運転する限り、わずかに劣る動的性能を実感することもないだろう。

オープンという魅力と、フェイスリフト後の2010年以降の登場ということで、グランカブリオの価格はクーペより高い。しかし走行距離は短く、丁寧に載られているケースも少なくない。

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