【A110の影響で注目度アップ】ルノー・アルピーヌGTA(V6ターボ)とA610 英国版中古車ガイド

公開 : 2021.05.26 08:25  更新 : 2021.07.12 18:45

RRのフランス製クーペを覚えているでしょうか。新車時も珍しい目を引く存在でしたが、注目度は近年上昇傾向。英国編集部が解説します。

アルピーヌA110の登場で注目度が上昇

text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
アルピーヌGTA(V6ターボ)と、後継モデルのA610をご記憶の読者はいるだろうか。悪くないスポーツ・クーペだったが、アルピーヌというブランドは当時充分に浸透していなかった。1995年にA610の生産を終えると、アルピーヌも静かに明かりを消した。

しかし、強い輝きを放つアルピーヌA110が2017年に登場。今ではルーノーF1チームの名称になるほど、アルピーヌは存在感を強めている。

ルノー・アルピーヌGTA 2.5ターボ(V6ターボ/1984〜1991年)
ルノー・アルピーヌGTA 2.5ターボ(V6ターボ/1984〜1991年)

そんな背景もあって、クルマ好きは再び古いアルピーヌにも目を向け始めた。かつての高性能クーペが、再び話題に登るようになってきた。

アルピーヌGTA、日本ではV6ターボと呼ばれたクーペが産声を上げたのは1984年。英国へは1986年にやってきた。アウトリガー付きのスチール製バックボーン・シャシーに、プラスティックとグラスファイバー製のボディが載っている。

車重は1140kgと軽量で、V6エンジンをリアにマウント。エンジンは、欧州では160psの自然吸気2.9Lと、200psの2.5Lターボが選択できた。

ターボユニットなら、0-100km/h加速は7.0秒。トランスミッションは5速MTだったが、ターボのギア比は4速と5速でわずかに高められている。

ちなみに2.9Lのキャブレターは、複雑な構造のソレックス。滑らかに燃料供給を行なうには、バキュームホースの難しい調整が必要となる。そのため、ホーリー社製キャブに載せ替えられるケースも多かった。

珍しいル・マンと後継モデルのA610

巧みなフロントノーズの処理で、GTAの空気抵抗は非常に優秀。一方でプラスティック製のカウルを介してラジエターに空気を送る構造は、少々冷却効率が悪い。

一部のオーナーはカウルの重要性に気づかず、破損したまま走行しオーバーヒートを招くこともあったようだ。中古車を探す場合、カウルがちゃんと残っているか確認したい。

ルノー・アルピーヌA610 3.0ターボ(1991〜1995年)
ルノー・アルピーヌA610 3.0ターボ(1991〜1995年)

1990年には、ターボ版をベースに特別仕様のル・マンが登場。ワイドなボディにBBS風のメッシュホイールを履き、スポーティさを高めている。右ハンドル車が製造されたのは26台のみで、近年では特に人気が高い。

英国の場合、レストアが必要な状態でも1万5000ポンド(225万円)位はする。状態が良ければ3万5000ポンド(525万円)近くに達するが、そもそもなかなか出てこない。

GTAの後継モデルとして1991年に登場したのがA610。デザインはGTAと似ているものの、同じ形状なのは窓ガラスのみだった。

メカニズム的にはキャリーオーバーで、エンジンはGTAと同じ2.9LのV6自然吸気ユニットがベース。排気量を3.0Lに拡大し、ターボをドッキングすることで250psを獲得した。おかげで0-100km/h加速時間は5.9秒を刻んでいる。

英国の場合、熱心なファンはA610よりGTAの方を支持する傾向が高い。車重は重く、ABSや電動パワーステアリングなどを備え、構造も複雑だからだろう。ただし作りは良く、洗練性も高められており、快適に運転できる。

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