BMW M3コンペティション xドライブへ試乗 訴求力を高める四輪駆動

公開 : 2021.11.09 08:25

BMW M3として初採用となる四輪駆動。魅力を損なうことなく、乗りやすさを向上させていると英国編集部は評価します。

後輪駆動から0-100km/h加速0.4秒短縮

執筆:Matt Prior(マット・プライヤー)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
途中で4ドアボディへ切り替わったものの、長く続くBMW M3の歴史上初めて、四輪駆動が選べるようになった最新のG80型。同じくG82型、2ドアクーペのM4にも四輪駆動が設定された。

最新のBMW M3コンペティション xドライブが搭載するのは、最高出力510ps、最大トルク66.1kg-mを発揮する、われわれが大好きな3.0L直列6気筒ツインターボ・エンジンだ。そこへ、更なるトラクションが追加されたことになる。

BMW M3コンペティション xドライブ(英国仕様)
BMW M3コンペティション xドライブ(英国仕様)

確かに510馬力もあれば、加速時はフロントタイヤの助けが必要だとBMWが考えても不思議ではない。アウディが展開する、安定性の高いRSモデルのように。

実際、M3コンペティション xドライブのスペックシートを見てみると、四輪駆動が効果的だということがわかる。後輪駆動のM3コンペティションの場合、0-100km/h加速は3.9秒だが、xドライブでは3.5秒。同じエンジンで、0.4秒という差が生まれている。

ただし普通に運転している限り、四輪駆動システムの存在感はとても薄い。通常は後輪駆動のM3と同様に、8速ATを介してパワーが伝わるのはリアタイヤのみだからだ。

xドライブでは、フロントタイヤへパワーを伝えるべく、マルチプレート・クラッチが常に臨戦態勢で待機している。フロント・サスペンションの間を通る、ドラブシャフトも。この四輪駆動化に伴い車重は55kg増え、1780kgとなった。

通常走行では四輪駆動の違いはわからない

フロントタイヤへ伝達されるパワーは、リアタイヤのスリップ量によって自動的に変化する。さらにノーマル、4WD、スポーツ4WDという3段階のモード設定から、ドライバーが前後の分配割合を選択することも可能。スポーツ4WDは、より後輪側に軸足が移る。

スタビリティ・コントロールをオフにすると、上記のモードに関係なく、後輪駆動状態に固定される。ドライバーの気分次第で、ドリフトを楽しめる環境も整えられている。

BMW M3コンペティション xドライブ(英国仕様)
BMW M3コンペティション xドライブ(英国仕様)

BMW M3コンペティション xドライブの英国価格は、7万8425ポンド(1215万円)から。後輪駆動のM3より、2765ポンド(43万円)高い設定となっている。

法定速度を守ったような運転をしている限り、直接乗り比べてみなければ、後輪駆動のM3と四輪駆動のM3との違いはほとんど知覚できない。筆者は2週間前に後輪駆動のM3に乗ってはいたが、その条件で実感できる差異はなかった。

ただし駆動輪に関わらず、最新のM3として疑問がなくはない。G80型ではすっかり大きく成長し、全長4805mm、全幅1905mmもあるのだから。そのかわりインテリアは上品で、作り付けもソリッド感が一層高くなっているけれど。

BMWがiドライブと呼ぶインフォテインメント・システムには、ロータリーダイヤルが備わる。エアコンなどには個別の機能が割り振られた、実際に押せるハードボタンが残されている。これは日常的な乗りやすさを高める上で、とても大きな要素だと思う。

ドライビングポジションも抜群に良い。早速公道へ出てみよう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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