徹底的で究極的 BMW M3 コンペティションへ試乗 豪快な直6ツインターボ 許容力を増す4WD

公開 : 2025.04.24 19:05

歴代初の四輪駆動が設定されたG80型M3 荷室500Lのツーリングも選択可 コンペは510psと66.1kg-m 低く理想的な運転姿勢 驚くほど親しみやすいRWD 許容力を増す4WD UK編集部が評価

歴代初の四輪駆動 ステーションワゴンも

BMW M3史上、初の四輪駆動となったG80型。ステーションワゴンのツーリングが設定されたのも、歴代初となる。

プラグイン・ハイブリッドやバッテリーEVへ注力するBMWだが、M3はブランドの象徴といえる。その認知度と訴求力は、少量生産のエキゾチック・モデルに並ぶほど。

BMW M3 xドライブ・コンペティション(英国仕様)
BMW M3 xドライブ・コンペティション(英国仕様)

初代は直列4気筒エンジンでスタートし、直6からV8へ進化しつつ、現行の6代目では直6へ回帰。次世代では、駆動用モーター版も選べるようになるらしい。

キドニーグリルが主張する、折り目がきっちり付いたスタイリングは印象的。ベースはBMW 3シリーズで、サルーンの全長は4805mm、全幅は1905mmある。

後輪駆動に続き追加された四輪駆動のxドライブでは、車重は1775kg。荷室の広いツーリングでは、更に85kgも増える。

2014年に発売された先代のF80型M3は、全長が123mm短く、後輪駆動の現行より170kgも軽かった。2010年に引退した、5.0L V10エンジンを積んだE60型M5ですら、50kg重いだけだった。そろそろ、3シリーズの成長は止めた方が良いように思う。

コンペの最高出力は510ps、最大トルクは66.1kg-m

現在の英国試乗へ導入されるのは、「コンペティション」のみ。若干パワーの落ちる、通常のM3は選択できない。3.0L直6ツインターボエンジンの最高出力は510psで、最大トルクは66.1kg-mと逞しい。

この大トルクは2750rpmから5500rpmで生み出され、特性はかなりフラット。8速ATに四輪駆動の場合、0-100km/h加速は3.5秒で処理する。

BMW M3 xドライブ・コンペティション(英国仕様)
BMW M3 xドライブ・コンペティション(英国仕様)

ただし、通常駆動されるのはリアアクスル。リアタイヤが空転するなど、必要な場面に限ってマルチクラッチが繋がり、フロントアクスルへも割り振られる。

ドライバー自らも、駆動方式は選択可能。通常の四輪駆動の他に、リアアクスル重視の4WDスポーツ・モードへ切り替えられる。スタビリティ・コントロールを切りドリフトし放題の、RWDモードも選べる。

低く理想的な運転姿勢 ツーリングの荷室は500L

インテリアは、先代以上にドラマチック。3シリーズ自体が豪華さを増しているが、M3では素材がアップグレードされ、座る者の気持ちを高ぶらせる。

ダッシュボードには大きなタッチモニターが載るものの、実際に押せるハードスイッチも沢山残されているのがうれしい。運転姿勢は低く理想的。足を真っすぐ伸ばした位置に、ペダルがある。

BMW M3 xドライブ・コンペティション(英国仕様)
BMW M3 xドライブ・コンペティション(英国仕様)

リムが太めのステアリングホイールには、M1とM2と記されたオレンジ色のボタン。エンジンやサスペンション、トラクション・コントロールなどの設定を任意に登録でき、1発で呼び出せる便利な機能だ。技術的な複雑さを、大幅に和らげている。

インフォテインメント・システムのiドライブは、タッチモニターの他にロータリーダイヤルで操作可能。ショートカットキーも便利といえる。

オプションのMカーボン・バケットシートはオススメしない。レーシングカーと異なり、座面中央の出っ張りが運転の邪魔になりがちだから。サイドボルスターが高く乗降性も悪く、カーボンファイバー製シェルは、後席側の空間を削ってしまう。

後席は3名がけのベンチシート。平均的な大人なら、快適に過ごせるはず。ツーリングにはリアウインドウだけ開閉できるテールゲートが備わり、荷室容量は500L。後席をフラットに倒せば、巨大な空間が出現する。

大パワーエンジンにスポーツシート、大きなトランクという組合せは、1つの理想。それがココにある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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