620psのグランドツアラーで長距離通勤 マクラーレンGT(1) 長期テスト

公開 : 2022.02.19 09:45

720 Sとの違いはかなり限定的?

マクラーレンは、モデルラインを3つのカテゴリーに分けている。現在のGTシリーズは、このGTのみ。スーパーカー・シリーズは、720 Sとアルトゥーラ。アルティメット・シリーズは、エルヴァとスピードテールが含まれる。

カテゴリーから想像できるように、GTは720 Sよりソフト。V型8気筒エンジンの最高出力は100ps絞られ、3mmだけだが車高は高い。防音材の量も多いという。

ブルーのマクラーレンGT ルクスとシルバーのマクラーレン720 S
ブルーのマクラーレンGT ルクスとシルバーのマクラーレン720 S

フロントノーズにはリフト機能が付き、130mmへ持ち上げられる。上質なレザー内装で仕立てられていても、車重は1530kgと軽量だ。

720 Sと実際に乗り比べてみると、どれほどの違いを感じるだろうか。直接乗り比べてみても、その差は小さいようだ。GTは、すべてにおいて数%ほど控え目に感じるくらい。

GTはドライバーを中心に爽快に旋回し、操作系の反応は信じられないほど正確。しかし、スポーティさを高める最後の要素が僅かに及ばない。ステアリングは、フロントタイヤを720 Sほどタイトに操らせることはないようだ。

今のところ、真冬の英国だから路面は滑りやすい。GTの味付けがありがたいと感じている。ステアリングは鋭く、フロントノーズが意欲的に反応するものの、冷えた路面でも許容できる範囲。英国郊外の一般道を相手に、巧みに振る舞ってくれる。

筆者は毎日、英国中央部のミッドランズから、南部のロンドン郊外へ通勤している。これから数か月は、マクラーレンGTが通勤手段だ。どんな日々になるのか、心配半分、楽しみ半分といえる。

セカンドオピニオ

マクラーレンGTは、ハンドリング・バランスや操縦特性が生む、ドライビング体験が素晴らしい。だが、グランドツアラーとしての能力には少々疑問がある。

依然として、GTはミドシップのスーパーカーであるように思う。スーパーカーは、沢山の喜びを与えてくれるが、同時にフラストレーションも溜まるクルマだといえる。

マクラーレンGT ルクス(英国仕様)
マクラーレンGT ルクス(英国仕様)

担当するピアスが、アルトゥーラが欲しいと感じる場面もありそうだ。あるいは、中古の720 Sの魅力にも気付くかもしれない。 Richard Lane(リチャード・レーン)

テストデータ

価格

モデル名:マクラーレンGT ルクス(英国仕様)
新車価格:16万3000ポンド(約2526万円)
テスト車の価格:17万2170ポンド(約2668万円)

オプション装備

ベリーズ・ブルー・エリート塗装:4000ポンド(約62万円)
パノラミック・プライバシー・ガラスルーフ:1750ポンド(約27万1000円)
グラスブラック・ダイヤモンドカット・アルミホイール:1650ポンド(約25万6000円)
ポリッシュド・スペシャルカラー・ブレーキキャリパー:1270ポンド(約19万7000円)
プライバシー・ガラス:500ポンド(約8万3000円)

テストの記録

燃費:7.1km/L
故障:なし
出費:なし

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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