日産アリア 詳細データテスト 広く高品質な室内 直観的な動力系 足回りは乗り心地も操縦性も難あり

公開 : 2022.11.05 20:25

日産期待の新型EV、アリアの欧州仕様は、ハンドリングを楽しむには柔らかく、乗り心地を高めるには硬いサスペンションチューニング。ファミリーカーに徹するなら、もっとソフトなセッティングでもよかったのかもしれません。

はじめに

中型ファミリーEVのマーケットは、すでにかなり多様化している。しかし、プレミアムな価格設定をしているクルマが少なくないにもかかわらず、それを正当化できるような、これまでの高級車ほどのバリューを備えるクルマは少ない。

テスラモデルYモデル3は速く、航続距離は長い。アウディQ4系は、エッジの効いたデザインと先進テクノロジーを備える。フォードマスタング・マッハEは、航続距離とダイナミックなハンドリング、優れたデザインの持ち主だ。どれもがそれなりに異なる個性を発揮している。

テスト車:日産アリア87kWhエヴォルヴ
テスト車:日産アリア87kWhエヴォルヴ    LUC LACEY

快適で洗練され、魅力的なキャビンと広い室内スペースを至上命題としたプレミアムなファミリーEVに先鞭をつけるクルマはないのか。日産が世に放ったクーペSUVのアリアは、そうなる可能性を感じさせる。

日産にとっては、第2の本格乗用EVだ。これより小型のリーフが2011年に登場してから11年という時間は、ゼロエミッション車のラインナップ拡大について熟考するに十分すぎるほどだ。商用兼用のe-NV200は登場したものの、おそらくボツになった車種もあるのだろう。

なぜ、新型EV投入がここまで先延ばしになったのか。その答えはおそらくプラットフォームにある。このアリアは、新開発のCMF-EVを使用する最初のモデルだが、今後は2030年までに、このコンポーネンツを用いて15車種が、日産をはじめルノー三菱からも投入される予定だ。この3社アライアンスにとって需要度の高いCMF-EV開発が完了するを待った結果、時間がかかったのだろう。

3社連合の未来を占うEVであり、これからの上級ファミリーカー像を予感させるアリアの実力は、はたしていかなるものなのだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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