日産アリア 詳細データテスト 広く高品質な室内 直観的な動力系 足回りは乗り心地も操縦性も難あり

公開 : 2022.11.05 20:25  更新 : 2022.12.02 02:31

内装 ★★★★★★★★★☆

4万〜6万ポンド(約680〜1020万円)の電動ファミリーカーはここまで、SUVと、それよりトラディッショナルなボディスタイルとのあいまいな境界線上にあるものが多かった。もっとなめらかで低いフォルムが好みでも、床下に駆動用バッテリーを積むので、結果的にキャビンやルーフ高が引き上げられてしまう。

しかしアリアは、その手のEVとしては背が高く、ハンサムな部類に入る。ドライバーズシートの座面はかなり高さがあり、もっとも低く下げた位置にしても、高い位置に腰掛け膝を曲げてペダルを踏むようなドライビングポジションとなる。

電動スライドのセンターコンソールや引き出しなど、新機軸を盛り込んだインテリア。全般的にハイクオリティとはいかないが、目につくところの質感は高く、今後への期待が持てる。
電動スライドのセンターコンソールや引き出しなど、新機軸を盛り込んだインテリア。全般的にハイクオリティとはいかないが、目につくところの質感は高く、今後への期待が持てる。    LUC LACEY

シートは快適で、ひざ周りも肩周りもスペースは余裕たっぷりだが、ルーフラインがカーブしているので、頭上空間は背の高い乗員が満足できるものではない。それでも、インテリアには十分に開放感がある。また、フロアがフラットで、左右席の往来もしやすい。

後席も、ヘッドルームは並外れて広いわけではないが、手足を伸ばせるスペースがある。サイドウインドウの上下幅や、エヴォルヴに装備されるルーフ長いっぱいのパノラミックルーフによる明るい光も心地よく、場所によるが、非常に高級感あるフィニッシュも施されている。

上級グレードには、便利な機能がふたつ備わる。ひとつが電動で前後にスライドするセンターコンソールで、アームレストや操作スイッチ類、小物入れの位置を好みに合わせて調整でき、ドライビングポジションと合わせてメモリーできる。

もうひとつが、ダッシュボードに収納できる引き出し式のテーブル兼小物入れ。これも電動式で、センターコンソールのボタンひとつで操作できる。貴重品を隠すのにも有効だが、それほど容量は大きくない。

マテリアルは、じつに魅力的な場所も見られる。そのひとつが本物のウッドパネルを用いたトリムで、バックライトを消すと目立たなくなるタッチ式の空調コントロールパネルが設置されている。

ブロンズカラーの送風口や、ソフトな毛織物を張ったダッシュボードも見栄えがいい。ただ、このダッシュボードは掃除しにくそうだ、との声もテスター陣からは聞かれたが。

それ以外に、ハイスタンダードでプレミアムなクオリティはほとんど感じられない。フットウェル周辺は組み付けが頼りなく、中敷きのないドアポケットはチープに感じられる。とはいえ、快適性や実用性、そして手触りの高級感では、将来有望だと思わせてくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

日産 アリアの人気画像