日産アリア 詳細データテスト 広く高品質な室内 直観的な動力系 足回りは乗り心地も操縦性も難あり

公開 : 2022.11.05 20:25

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

この全面新設計のアーキテクチャーを、日産関係者は空飛ぶ魔法のじゅうたんと呼んできた。そしてこのニックネームは、このCMF-EVがどのようなクオリティをEVに与えるかを物語っている。

このプラットフォーム、ライバルの多くが後輪駆動ベースであるのに対し、前輪駆動ベースを選んだ。しかし、日産の狙う運動性が、安心感や安定性、イージードライブに主眼を置いたものであるのならば、この選択は賢明と言えるだろう。

後輪駆動ベースのライバルが多い中、アリアのCMF-EVプラットフォームは前輪駆動ベース。モーターも電磁石を用いる独自色の強いものだ。
後輪駆動ベースのライバルが多い中、アリアのCMF-EVプラットフォームは前輪駆動ベース。モーターも電磁石を用いる独自色の強いものだ。    LUC LACEY

廉価モデルはフロントモーターだが、上位機種はリアにもモーターを積み、最高出力は218~394ps。そのモーターも興味深いものだ。電磁石タイプと呼ばれるそれは、対極の電磁フィールドで駆動される。そのため、重量がかさむ金属磁性体が不要になる。低回転でのトルクはやや低くなるが、巡航速度での効率は高くなるのだと、日産では説明している。

駆動用バッテリーは、キャビンの床下に敷き詰められている。液冷式リチウムイオンバッテリーパックは、低重心化とボディ構造の高剛性化を両立。それを積むためにホイールベースは可能な限り長く取り、ランドローバー・ディスカバリースポーツをも上回る2775mmに達している。

バッテリーは容量違いで2種類用意され、ネット容量は63kWhと87kWh。テスト車は87kWhのほうで、82kWh以上は稀有なライバルたちに対するアドバンテージを誇る。

サスペンションは、フロントがストラット、リアがマルチリンクの四輪独立で、スティールのコイルスプリングと、一般的なパッシブダンパーを備える。日産によれば、欧州仕様はダンパーとステアリングに専用チューンが施されているという。

テスト車の実測重量は2109kgで、昨年テストした同じシングルモーターのアウディQ4 E-トロン40よりわずかに軽い。それでいて、バッテリー容量は10%近く大きく、ピークパワーでも上回っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事