どろどろ悪路 走らせてみた(後編) ジープ・ラングラー

公開 : 2023.08.01 17:20

タイヤによる走りの違い

これはトレイルテレインタイヤはPC(パッセンジャーカー)規格に、オールテレインはマッドテレインと同様、LT(ライトトラック)規格に準じていることが大きい。

前者はサイドウォール形状やコンパウンドがオフロードタイヤと似ているか同じだったとしても、使用状況の9割はオンロードが前提で、舗装路面のグリップを重視してトレッド面の変形を抑えるため、カーカスコードの間隔が狭い。

トレイルテレインタイヤ/オールテレインタイヤによる走りの違いが際立った。
トレイルテレインタイヤ/オールテレインタイヤによる走りの違いが際立った。

よってオフロード路面では傾きが強いとショルダーしか接地しなかったり、岩などに対して点で蹴る傾向がある。

対して後者、オールテレインはマッドテレイン同様にLT(ライトトラック)規格でカーカスコードの間隔が広く、トレッド面がたわみやすい。空転時も路面を掻いて当たりどころを探るのに優れ、力のかかりどころが見つかると、瞬間的にクンッと前に進むのだ。

今回の試乗では、いずれのサハラもラングラー車載の空気圧モニターで、4輪とも2.2気圧。あえて空気圧は下げていなかった。どちらのタイヤでもクローズドのオフロードを難なくこなせる要因は、当然ラングラー・アンリミテッド・サハラ2.0のポテンシャルに帰せられる。

いずれラングラーのオーナーがジープ本来のオフロード性能を引き出してより楽しむには、オン/オフの日常バランスの整ったトレイルテレインか、よりオフロード重視のオールテレインか、あるいはもっとハードに挑めるマッドテレインか、タイヤのアップグレードが喫緊の課題ということだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    南陽一浩

    Kazuhiro Nanyo

    1971年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ネコ・パブリッシングを経てフリーに。2001年渡仏。ランス・シャンパーニュ・アルデンヌ大学で修士号取得。2005年パリに移る。おもに自動車やファッション/旅や食/美術関連で日仏独の雑誌に寄稿。2台のルノー5と505、エグザンティア等を乗り継ぎ、2014年に帰国。愛車はC5世代のA6。AJAJ会員。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    1986年生まれ。クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。

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