採石場ではスタック不可能? フォード・レンジャー・ラプター ジープ・ラングラー 直接比較 前編

公開 : 2023.04.15 09:45

能力を大幅に向上させたレンジャー・ラプター。オフローダーの雄、ラングラーへどこまで迫れるのか、英国編集部が比較しました。

最も悪路での走破性に長けたモデル

グレートブリテン島で普通に暮らしていると、ここまでぬかるんだ場所へ立ち入ることはないだろう。恐らく、農業を営む方でも。

3月中旬の今日は、雪が溶けて採石場はドロドロ。空は薄暗く肌寒い。しかし今回の2台にとっては、意に介するほどの悪条件ではなさそうだ。夕日を浴びながらバーベキューを楽しめる季節なら、筆者ももっと幸せな気分になれそうではある。

ブルーのフォード・レンジャー・ラプターと、ホワイトのジープ・ラングラー・アンリミテッド 2.0ルビコン
ブルーのフォード・レンジャー・ラプターと、ホワイトのジープラングラー・アンリミテッド 2.0ルビコン

コーンポタージュ並みにトロみのある、泥混じりの深い水たまりにも挑戦した。2時間ほどたわむれて、充分に能力は確かめられたと思う。

筆者と同僚は、2台のオフローダーをスタックさせようと試行錯誤した。しかし、今回の場所では不可能だった。現在一般的に販売されているなかで、最も悪路の走破性に長けたモデルであることは間違いなさそうだ。

今回、わざわざこんな採石場まで足を運んだ理由は、新しいフォード・レンジャー・ラプターが登場したから。スペインでの初試乗に続いて、英国の一般道でも走り込み、好印象を与えてくれている。

だが、持ち上げられた最低地上高の下には、まだまだ沢山の空間が残っていた。平らに均されていない広大な大地こそ、その能力を遺憾なく発揮できる場所だと考えた。市街地や高速道路のように、少し窮屈な思いをする必要もない。

バハ1000に参戦したレンジャー・ラプター

レンジャー・ラプターのドライブモードには、バハ・モードが付いている。北米大陸の東、メキシコ半島に広がるバハ・カリフォルニア砂漠は、オフロード・ラリーのメッカ。AUTOCARの読者も、一度は耳にされたことがあるはず。

その土地で開かれるイベントで、最も有名なのがバハ1000と呼ばれるラリーだ。約1300kmのルートを全開で突っ走るもので、フォードは2022年にレンジャー・ラプターで参戦している。基本的に市販車と同じ仕様で。

フォード・レンジャー・ラプター(英国仕様)
フォード・レンジャー・ラプター(英国仕様)

ただし、フォードの技術者チームはもっと広い大地を念頭に入れていた。開発が主に進められたのはオーストラリア。長く伸びた半島など、許容できて当然といえた。面積の小さいグレートブリテン島なら、小手先でこなせるといっても良さそうだ。

それでも、ぬかるんだ草地は広がっている。うさぎ小屋を修復するため、敷地の反対側に建つ納屋まで道具と材料を急いで取りに行くのに、パワフルなピックアップトラックほど適した乗り物はないだろう。

レンジャー・ラプターの高い走破性を支えているのが、有能なダンパーだ。アメリカ・カリフォルニアに拠点を置くフォックス社製のアイテムで、本来はオフロードバギー向けに開発されている。

細かい入力や波打った路面からの入力は、しなやかに1発で吸収。同時に、ジャンプなどでダンパーが伸び切ると減衰力が一気に高まり、直後に待ち構える強い負荷へ備える。どんな条件にも対応する瞬間的な応答性には、舌を巻く。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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