敬意を払い自然を楽しむ 社長のジープ・ラングラーで悪路へ(1) 最大リスクはサイドウォール損傷
公開 : 2025.04.29 19:05
英国の未舗装路「グリーンレーン」の利活用を進めるジープ サイドウォール損傷が最大のリスク 驚くほどの自信を与える社長のラングラー 最大の難所も驚くほど滑らか UK編集部が悪路へ
未舗装の小道をジープで走るプロジェクト
ジープUKの社長は、このブランドらしい冒険的なライフスタイルを自ら実践している。引くくらい過酷な、「エクストリーム・トライアスロン」にも挑戦するほど。通常のトライアスロンの2倍の距離を、それぞれこなす超人イベントだ。
「自分は、昔からアウトドア派でした。メンタルヘルスにも気を配っています。自然へ出かけることは、メリットばかりです。身体にも心にも」。今日もウェットスーツを持ってきたと冗談を交えつつ、クリス・チョルモンドリー氏が笑う。

筆者がいるのは、グレートブリテン島北部の湖水地方。南北へ長いウィンダミア湖の横断から旅は始まるが、もちろん泳がず、国道の一部を構成するフェリーに載る。チョルモンドリーの社用車を含む、ジープ・ラングラーの隊列で。
彼が社長へ就任したのは2023年。以来、ブランドのルーツを確固たるものにすべく、様々な取り組みが展開されている。
英国でグリーンレーンと呼ばれる、かつて村々を結んだ未舗装の小道を管理する団体、「GLASS(グラス)」との連携もその1つ。総長9700kmあり、近年は農業や林業で用いられているが、ジープ・オーナーも走れるよう、各ディーラーが体制を整えている。
「この取り組みは、自然へ敬意を払って実施されます」。と、チョルモンドリーは主張する。「50km/hで駆け抜けて、水しぶきを上げることが目的ではありません。あらゆる形態の冒険と自由を、尊重することといえます」
社長のラングラーでグリーンレーンへ
この連携を初めて筆者が伺ったのは、2024年のこと。しかし、ステランティス・グループの窓のない会議室の中で、現実味は薄かった。「ぜひ、グリーンレーンへ連れて行ってください」。冗談めいて口にしてから数か月後、湖水地方へ招かれた。
フェリーが対岸へ到着すると、社長のラングラーの鍵が手渡された。チョルモンドリーは、助手席へ飛び乗る。スキッドプレートとサイドレールが装備された、ルビコンだ。

今回走るのは、グリーンレーンでも自動車が走行可能な区間。通称、BOAT(ボート)と略されている。自由に車両が走れる区間があること自体、余り認知されていない。敷居が高いと感じている人も多いという。ジープUKは、それを解決しようと考えている。
先導するのは、オフローダーで数多くの冒険へ挑んできたラッセル・ダイクス氏。グリーンレーンは、一般的な四輪駆動で問題なく走れる区間が殆どだが、彼が同席するだけあって、予定のルートはかなり過酷らしい。ラングラーの能力が、必要になるという。
ウィンダミア湖の西へ広がる、グリズデール・フォレストへ。そこを貫くグリーンレーンが、「ザ・フォックス」だ。無線が入り、ラングラーの四輪駆動システムをローレンジへ切り替え、デフをロックし、スタビライザーを切り離すよう指示される。
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