オフロードへ本気で挑む ランボルギーニ・ウラカン・ステラートへ試乗 最後を飾る至高の喜び(2)

公開 : 2023.10.09 19:06

悪路のために改良を受けたスーパーカー、ステラート 過酷なオフロードを堪能 ウラカンの最後を飾る見事な仕上がり 

エンジンはウラカン STO譲りのV10

ランボルギーニ・ウラカン・ステラートは、外界との隔離性が悪くない。フロアにカーペットはなく、ドアパネルも簡素だが、車内へ届くノイズはポルシェ911と大差ない。むしろ、より静かかもしれない。

しばらく走り、広大なオフロード施設があるスイートラム・モータースポーツ・コンプレックスへ。本格的なラリーマシンのシェイクダウンから、裕福なアマチュアドライバーの気晴らしまで、多様なニーズへ応えるオフロードコースが整備されている。

ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)
ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)

代表を務めるジョナサン・ベネット・エヴァンス氏は、これまで様々なラリーマシンを目にしてきたという。だが、ランボルギーニが走るのは始めてだとか。ウラカン・ステラートのことを、興味深げに尋ねてくる。

エンジンは、チタン製バルブでチューニングされた、ウラカン STO譲りの5.2L V10だと説明する。タイヤは、あらゆる地形に対応するブリヂストン・デューラーAT002を履くことも。サイドウォールの形状が機能的ではないと、彼は反応する。

シャシー底面の保護も気になるようだ。フロントには、アルミニウム製のアンダーガードが付く。ホイールアーチは、ボルトで固定されたオーバーフェンダーが覆う。通常のウラカン・エボより、車高は44mm高いこともお伝えする。

サスペンションには、BWI社製のアダプティブダンパーと、長いスプリングが組まれている。ブレーキには、表面の砂が落ちやすいよう加工された、セラミック・ディスクを装備することも付け加える。

高精度なパワートレインが信頼感を高める

一通り彼へ説明し、スウィート・ラムのコースへ突入。オフロードでの挙動は、驚くほど自然だ。ブレーキの反応が僅かに悪くなり、旋回時はステアリングホイールだけでなく、アクセルペダルを煽る必要があることへ慣れれば、全開で走れる。

ESCをオフにして、カーブが連続するダートを駆ける。V10エンジンの咆哮が背後から放たれ、アルミニウムとカーボンで構成されたシャシーに、小石や砂利の当たる音が足元では響く。

ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)
ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)

フロントタイヤがトラクションを高めると、視界を遮る勢いで砂埃が舞う。通常ならアスファルトが広がるフロントガラス越しの世界だが、今回は一面に砂利と草。スポーツ・モードでもラリー・モードでも、その面白さに陶酔してしまう。

電子アシストをオフにすると、ウラカン・ステラートの表現力が一層増す。グラベルのストレートを落ち着いて疾走し、コーナーではスピンの不安を感じさせない。高精度なパワートレインが、信頼感を高めている。

トランスミッションは、ウラカン・エボ譲りの7速デュアルクラッチ・オートマティック。電子制御のリミテッドスリップ・デフがリアに組まれ、ハルデックス・カップリングを用いた四輪駆動が走りを支える。

若干、トルク分配率は安全志向かもしれない。だが、WRCドライバー以外には、これで丁度いい。

ベネット・エヴァンスも、ウラカン・ステラートを気に入った様子。気まぐれな路面に対し、見事にタイヤを追従させるサスペンションへ感心していた。類まれな、自然吸気V10エンジンが載ることにも。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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