キャデラック x アンドレッティ F1新規参入へ前進 11番目のチームとして正式に承認されるか

公開 : 2023.10.03 15:15

ゼネラルモーターズのキャデラックが目指すF1参戦 アンドレッティ・オートスポーツと協働で申請 正式決定には更に1ステップが残る

11番目の新チーム「アンドレッティ・キャデラック

世界のモータースポーツを統括するFIA、国際自動車連盟は、アンドレッティ・オートスポーツによるF1への新規参入に関する申請を承認した。これにより、協働するゼネラルモーターズ(GM)が掲げる目標達成にも、1歩近づいたといえる。

アンドレッティ・オートスポーツとGMは、共同で新チーム「アンドレッティ・キャデラック」を設立し、F1への参入を目指すという発表を2023年の初めに行っている。実現すれば、11番目のチームが誕生することになる。

アンドレッティ・オートスポーツとGMは、2023年に共同で新チーム「アンドレッティ・キャデラック」を設立した
アンドレッティ・オートスポーツとGMは、2023年に共同で新チーム「アンドレッティ・キャデラック」を設立した

しかし、まだ正式に参戦できるようになったわけではない。さらにF1側による承認が必要で、決してハードルは低くない。新チームを加えることに対し、消極的な姿勢の関係者も少なくないためだ。

FIAは2023年初頭に、F1への新規参入チームを募集。正式な申請プロセスの前に、複数のチームから「関心表明」が示され、4チームが審査対象へ選出されていた。

FIAのバックアップを受けつつ最終的な審査へ進み、承認を受けたのは現在のところアンドレッティ・キャデラック・チームのみ。ニュージーランドのロディン・カーズ社も申請していたが、却下されている。残りの2チームの結果はわかっていない。

最短でも2025年シーズンから 拠点はアメリカに

アンドレッティ・キャデラックの計画では、拠点はアメリカに据えられる。英国にはサポート施設が準備されるという。具体的な場所は、明らかになっていない。正式に参入が認められればだが、実戦へ加わるのは最短でも2025年シーズンになる。

チームを率いるのは、元F1ドライバーで1978年に優勝を掴んだマリオ・アンドレッティ氏の息子で、自身もインディーカー・レースで活躍したマイケル・アンドレッティ氏。

WEC富士のハイパーカークラスにも参戦しているキャデラックV-LMDh
WEC富士のハイパーカークラスにも参戦しているキャデラックV-LMDh

F1参入が決定すれば、少なくとも1人のアメリカ人ドライバーを登用する考えだという。エンジンは、第三者から供給を受けることになる。

GMを率いるマーク・ロイス氏は、2023年の初頭に次のようにコメントしている。「ゼネラルモーターズが、歴史的な瞬間にアンドレッティ・グローバルとチームを組むことができるのは光栄なことです」

「弊社にはモータースポーツと技術革新において長く豊かな歴史があり、この計画に興奮しています。キャデラックとF1は、どちらも世界的な魅力度を強めています。アメリカ特有の革新性とデザインをF1へ導入する機会を得ることへ、誇りを感じます」

キャデラックによる、耐久レースへの態勢に大きな影響はないと考えられる。2017年からアメリカのIMSAスポーツカー選手権で成功しており、2023年はル・マン24時間レースへも挑んだ。

V-LMDhという新規格のハイブリッド・プロトタイプ・マシン、キャデラックVシリーズ.Rを開発。見事総合3位の座を掴んでいる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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