メルセデス・ベンツB250

公開 : 2013.03.26 16:38  更新 : 2017.05.13 12:51

街中では低回転域でのトルク感の強さが印象的だったエンジンは、そのままアクセルペダルを踏み続け、高回転域に差し掛かっても、決して極端なパワーの落ち込みを感じさせたりはしない。それどころか、そのパワーはコーナーではもはや持て余し気味とさえなって、内側前輪が空転気味になり始めたことを示すトラクションコントロールの作動ランプが頻繁に点滅するようなシーンにも見舞われることになった。

もっとも、そんな連続するコーナーを駆け回るようなシーンでも不自然に大きなロールに見舞われるようなことがないのは、従来型よりもグンと重心高が低下したであろう成果も大きいに違いない。前出エンジンが発する大きなトルクが、操舵輪でもある前輪に伝えられるため、時にわずかに操舵感が変化したりもするステアリングフィールは、正直なところCクラス以上の後輪駆動モデルの上質さには及んでいない。

けれども、ライントレース能力の高さや微舵操作時の正確性などは“さすがはメルセデスの一員”と思える仕上がりだ。一方で、調子に乗って飛ばしていると、最後にはやや効き味が変わることを感じさせられたブレーキのポテンシャルは、少々物足りなくも思えた。

もちろん、現実には“Bクラスでワインディングロードを飛ばす”などという場面は考え難い。けれども、そこはメルセデス車であるだけに、余裕の上にも余裕をもったタフネスぶりが欲しいと思うのだ。少なくと、B180に対して大幅にポテンシャルアップが図られた動力性能に対し、ブレーキのポテンシャルは「余り変わってはいない……」というのが、自身の評価になる。

B250の動力性能が、B180とは比べ物にならない高さであることは間違いない。ただし、今度はそこでちょっと気になってしまうのが、そんな両車間に開いた走りのポテンシャルのギャップの大きさだ。

B180の走りではちょっと“かったるい”。かと言って、本格スポーツカー級のB250の速さまでは必要ない、と、そんな贅沢な希望も生まれてきそう。実は欧州市場に向けては両モデルの間に、最高156psを発するエンジンを搭載した“B200”というモデルが存在する。すなわち、「B180では物足りないけれどB250までは必要ない」という希望を抱く人にとっては、これこそがベストなBクラスではないかとも想像出来るわけだ。

確かにB250が435万円という価格に設定されている現在、B200ではスターティングプライスが399万円からのCクラスとの差別化が難しいという販売戦略上の問題もあるのかも知れない。仮に個人的に1台のBクラスを選ぶとしても、「ホントはB200が欲しいのに……」ということになりそうな気がする。

そう、このB200という仕様こそが本来、日本でもベストなBクラスと考える人は、きっと少なくないはず。そんな夢が叶うことを切望したい。

(文・河村康彦 写真・花村英典)

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