岐路に立たされたランドローバー・ディスカバリー 次期型で大胆刷新、家族向け高級SUVとして再出発?

公開 : 2023.10.24 18:05

・「ディスカバリー」を1つのブランドとして独立させたJLRだが、課題は多く…。
・ディフェンダーに奪われた人気、取り戻せるか。販売は減少傾向。
・進むべき道は、多用途なファミリー向け高級SUV?

ディスカバリーをどのように盛り上げるか

英国の自動車メーカーであるJLR(ジャガーランドローバー)は、ブランド再編にあたってランドローバー・ディスカバリーを完全に刷新する必要があり、次世代モデルは白紙からのスタートだとしている。

JLRはディフェンダーレンジローバー、そしてジャガーと並ぶ4本目の「ブランドの柱」としてディスカバリーを確立させようとしている。同社の新CEOであるエイドリアン・マーデル氏が8月、ディスカバリーの全面的な見直しが迫られていると語ったとき、記者は驚きを隠せなかった。

第6世代の新型ディスカバリーは独自のニッチを切り開かなければならない。(編集部作成予想CGイメージ)
第6世代の新型ディスカバリーは独自のニッチを切り開かなければならない。(編集部作成予想CGイメージ)    AUTOCAR

「ディスカバリーの(ブランド)エクイティは今日では少なくなっており、多くの人がその理由について見解を持っています。さまざまな意見がありますが、(当社の)次の行動に関して有益な情報でなければ興味深いとは言えません。専門のシンクタンクが必要です。わたしは、深く有意義な思考と、考えるための時間を与えることが重要だと思います」

熱心なJLRウォッチャーにとって、このマーデル氏の発言は驚きだった。6月、JLRは投資家向けに大規模なプレゼンテーションを行い、事業を「ハウス・オブ・ブランズ(house of brands)」、正確には4つのブランドとして再構築すると発表した。

ディフェンダーは「不可能を可能にする……冒険好きな人々のためのもの」、ジャガーは「先鋭的で現代的なラグジュアリーEVブランド……何物のコピーでもない現代的なラグジュアリー体験」、レンジローバーは「現代的ラグジュアリーの比類なきリーダーであり、最も目の肥えた顧客のために特別なものを提供する」、そしてディスカバリーは「ラグジュアリーな多用途性を提供……新しいファミリー層を喜ばせる」と説明された。

ディスカバリーについてのこの説明は、マーデル氏にとって十分なものではなかったようだ。実際、発表から3か月後に記者が改めてインタビューし、いくつかの短いワードに集約できないのかと尋ねると、彼は「探しているワードが見つからないので、そうならない可能性があります。『ファミリー』や『スペース』はあり得るかもしれません」と答えた。

「しかし、これらの言葉を作るのはわたしではなく、専門家たちです。素人であるわたしは言えるのは、成功したかどうかです。わたし達はまだそこまで到達していません」

JLR英国部門のマネージング・ディレクターであるパトリック・マクギリーカディ氏は、「ディスカバリーは重要なブランドであり、絶対的なエクイティと市場空間、非常に忠実な顧客ベースがあります。今、わたし達が進めているのは、ディスカバリーブランドをどのように再構築するか考えること。どのような市場空間を埋めるのか?」と述べている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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