【オプションはほぼ不要】ポルシェ911カレラ(3) 長期テスト 今以上に何を求める?

公開 : 2021.01.24 11:45  更新 : 2021.07.12 18:55

992型へと生まれ変わったポルシェ911。初代に通じる純粋さを残し、50年もの歴史を備える、最も有名なスポーツカーの1台です。最新のポルシェは、最良なのか。素の911カレラを通じて、その魅力を探ります。

積算1万1997km 911にオプションは必要なのか

text:Mark Tisshaw(マーク・ティショー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
数年前、英国編集部では991型の後期となるポルシェ911カレラSを長期テスト車として導入し、検証していた。そのレポートを読み返していて、筆者はクルマの金額とスペックに目が止まった。

標準の991型911カレラSの英国価格は、当時8万5857ポンド。だが、長期テスト車には多くのオプションが付いていて、10万8028ポンドへと高くなっていた。

ポルシェ911カレラとシボレー・コルベット(C8)
ポルシェ911カレラとシボレーコルベット(C8)

オプションに2万ポンド以上だから、小さな金額ではない。その中で1530ポンドの後輪操舵システムや、2744ポンドのアクティブ・アンチロールバーなどは、ドライビングの楽しみには結びついていないと触れられている。

ポルシェを購入する場合、多くのオプションを追加して金額が大幅に高くなる、ということはよく聞く話。だが、それはポルシェに限った話ではないようだ。

先日、ミドシップになった最新のシボレー・コルベットと比較する機会があった。北米なら、4万4000ポンド(616万円)から購入できるスポーツカーだ。

しかし英国で試乗したコルベットの場合、上級なトリムオプションが与えられ、いくつかのオプションも追加され、価格は13万2000ポンド(1848万円)へと膨れ上がっていた。輸入にかかるコストもあるとはいえ。

話を戻そう。991型の911のスペック表を見ると、最新の992型との違いが見えて興味深い。長期テストの素のカレラが、どれだけピュアでシンプルなドライビング体験を提供しているのかも、想像できる。

992型にも通じる、991型の結論

992型の911カレラの英国価格は、8万2793ポンド(1159万円)から。長期テスト車の場合、わずかなオプションが装備され、9万891ポンド(1272万円)へ増えている。

そのオプションで実際の走りに影響がありそうなのは、1145ポンド(16万円)のカレラSホイールだけ。フロントが20インチ、リアが21インチへと、サイズアップしている。

ポルシェ911カレラ(英国仕様)
ポルシェ911カレラ(英国仕様)

それ以外は、カラーやトリム、利便性を高める内容のものだ。ただし464ポンド(6万5000円)のバックカメラと、699ポンド(9万8000円)のダイナミックLEDヘッドライトは、ぜひとも付けたい装備だと思う。

991型の長期テストの結論を読んでみると、992型でもそのまま引用できそうにすら思えた。カレラよりパワフルなカレラSで、2万ポンドのオプションが載っていた。でも、992型にも共通するものが導かれていた。

ターボチャージャー付きのフラット6は、高次元のパフォーマンスを身近なものにしてくれている。自然吸気エンジンから失われたもの以上に、得られたメリットの方が大きいと思う。

992型でも、911は日常的に乗りやすい。運転は喜びにあふれている。こんなカレラがポルシェ911のエントリーグレードだという事実は、信じられないとさえ思う。

ポルシェ911にオプションを付けたとしても、その素晴らしさは充分に享受できる。だが、素のカレラでも充足度は高い。これ以上を911に求める必要は、あるのだろうか。

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