【4月のインポートカー登録】コロナ前の水準に届かず フォルクスワーゲンは回復の流れに

公開 : 2021.05.17 06:45  更新 : 2021.10.11 10:56

4月の輸入車の登録台数レポートです。前年同月比で148.5%を記録しましたが、コロナ禍前の水準には届かず。回復が遅れていたフォルクスワーゲンは上向きです。

2020年比48.5%増も、2019年の水準に届かず

text:Kazuhide Ueno(上野和秀)

4月の輸入車の新規登録台数が発表された。

2回目の緊急事態宣言が3月21日で解除となり、春の陽気とあいまって日常生活は息苦しい制限から一部が解き放され自由を取り戻すことになった。

4月は多くのブランドが、2020年同月比でプラスを記録。ただ、昨年は4月7日から1回目の緊急事態宣言(16日から対象は全国に)だったので当然の結果。そのなかで、回復が遅れていたフォルクスワーゲンに動きが。
4月は多くのブランドが、2020年同月比でプラスを記録。ただ、昨年は4月7日から1回目の緊急事態宣言(16日から対象は全国に)だったので当然の結果。そのなかで、回復が遅れていたフォルクスワーゲンに動きが。    フォルクスワーゲン

ゴールデンウィークも間近となり、個で移動できるクルマの有用性が浸透していたことも加わって、新車の需要が増すのは自然の流れといえた。

その結果、4月の輸入車新規登録台数は1万6417台を記録し、前年同月比で148.5%に。

例年4月は、年度末となる3月の駆け込み登録の反動で低減するのが常で、今年も3月の約半分の台数となっている。

ただ、昨2020年の4月は初の緊急事態宣言が7日に発令され、社会機能がほとんど停止していたことから、近年で最も低い登録台数を記録した。

同じ4月で比較してみると、2020年は1万491台。コロナ前の2019年は1万7599台となる。

2021年4月は、2019年比では93.2%となり、完全復活まであと一歩という状況だ。

ちなみに国産乗用車の新規登録台数は18万2760台(同126.3%)と増加、軽乗用車の届け出台数も10万5638台(同141.7%)と健闘。しかし2019年4月比で比べると、コロナ前のレベルまで復旧していない。

前年同月比200%超えのブランドも

それでも4月の結果を見ると、ほとんどの輸入車メーカーが前年同月比でプラスに転じた。

量販メーカーで最大の伸び率をマークしたのはプジョー(880台:前年同月比262.7%)。

以下、ランドローバー(346台:同243.7%)、アルファ・ロメオ(129台:同222.4%)、シボレー(34台:同212.5%)、フィアット(520台:同211.4%)、アウディ(1556台:同211.1%)、キャデラック(33台:同206.3%)、アバルト(158台:同205.2%)と8つのメイクスが前年同月比で200%を越える。

プレミアムカーのカテゴリーでは、BMWアルピナ(17台:同425%)を筆頭に、アストン マーティン(40台:同285.7%)、マセラティ(44台:同141.9%)が前年を大きく上回った。

VW ディーラー来客 2019年並みに回復

昨年の秋から他のメーカーが着実に復旧する中にあって、3月まで前年実積を超えられなかったのがフォルクスワーゲンだった。

今年の第1四半期のモデル別登録台数トップ20では、Tクロスが2位、ポロが6位、Tロックが8位と好調だったのだが、主力モデルのゴルフが消えていたのである。

他ブランドより回復が遅れていたフォルクスワーゲンは、改良新型パサートの販売がはじまり来客がコロナ前の水準に。5月にはSUVのティグアンがマイナーチェンジ。初めてティグアンR(写真)が設定された。
他ブランドより回復が遅れていたフォルクスワーゲンは、改良新型パサートの販売がはじまり来客がコロナ前の水準に。5月にはSUVのティグアンがマイナーチェンジ。初めてティグアンR(写真)が設定された。    AUTOCAR

上位が指定席だったゴルフは、モデル末期の過渡期ということからモデル別トップ20から消えてしまい、フォルクスワーゲンの総登録台数を引き下げてしまった。

こうした中で、フォルクスワーゲンは4月に121.5%と回復を遂げた。

3月にTクロスの本格販売、4月には新型パサートの導入とトゥーランの仕様変更と、ラインナップの充実が結果に結びついたといえる。

そこで、4月に前年越えを果たした要因を、フォルクスワーゲン日本法人に聞いてみた。

「コロナ禍の影響で新車の供給不足が続いていましたが、売れ筋のポロ、Tクロス、Tロックの供給が改善されたことから登録台数が増拡した1つの要因になります」

「車種的には昨年デビューしたコンパクトSUVのTクロスとクーペSUVのTロックが好調で、販売実績を牽引しています」

「4月に最新の運転支援システムを採用した新型パサート(マイチェン)の販売を開始しました。デビューフェアではディーラーの来場者がコロナ前の2019年並みに戻ったことが、拡販となった大きな要因といえます」と分析する。

フォルクスワーゲンの伸長は、本国からの供給体制が復旧したことに加え、積極的な展開により販売台数を伸ばした好例といえよう。このあと新型ゴルフの販売が開始されれば、まさに盤石の体制となることだろう。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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