【4.4L ビターボV8で621ps】アルピナB8 グランクーペへ試乗 多能なグランドツアラー

公開 : 2021.08.27 08:25

BMW 8シリーズ・グランクーペにアルピナが手を加えた最新のB8。馬力が引き上げられただけでなく、多能なグランドツアラーだと英国編集部は評価します。

4.4LのビターボV8で621psと81.4kg-m

執筆:Piers Ward(ピアス・ワード)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
日に日に近づく2030年。9年後には、こんなガソリンエンジン・モデルを新車では買えなる。近年のニュースを見るほど、気候変動に対する行動が必要なことは理解できる。しかし、アルピナB8 グランクーペのようなクルマとのお別れは悲しい。

B8グランクーペには、二重人格といえる性格が備わっている。ハイパワーで郊外の道をスリリングに走り抜ける肉食動物的な一面と、快適で穏やかに、草食動物のように運転できるもう一面。こんな個性を持つクルマは多くない。

アルピナB8 グランクーペ(英国仕様)
アルピナB8 グランクーペ(英国仕様)

将来の電気自動車も、それを両立させる可能性はなくはない。しかし今のところ一面的で、どちらかに偏っている例が多いように思う。

ドイツのアルピナには、豊かな歴史が背景にある。筆者は、ミュンヘン生まれの高級モデルへ施されるチューニングのファンだ。最新のアルピナが登場すると聞けば、興味を抱かないわけがない。

ビッグクーペとしては、BMW 850 CSiをベースにした伝説のB12クーペや、650iグランクーペをベースにしたB6が過去に存在してきた。現在の10番目のアルピナとして登場したのが、このB8グランクーペとなる。

ベースはBMW 850i グランクーペ。内外ともに、アルピナらしいチューニングで仕立てられている。ボンネットの内側へタイトに収まるエンジンは、ビターボのV8。BMW社製の4.4Lツインスクロール・ツインターボガソリンだ。

標準の850iでは最高出力530psと最大トルク76.3kg-mを発揮するが、B8では621psと81.4kg-mへ増強されている。最大トルクの発生回転域は、2000rpmと驚くほど低い。

ビルシュタイン・ダンパーとアイバッハ・コイル

インタークーラーは外寸が同じながら、B8ではアルピナ独自の内部構造を獲得。50%も冷却効率が高いという。この効果で、パワーアップへ結びつけている。

0-100km/h加速時間は3.4秒と文句なく瞬足。850i グランクーペから0.5秒も短縮した。ただし、メルセデスAMGのGT 4ドアクーペはさらに0.1秒も速い。一方でB8の最高速度は圧倒的といえる、323km/hがうたわれる。

アルピナB8 グランクーペ(英国仕様)
アルピナB8 グランクーペ(英国仕様)

強力なV8エンジンとペアを組むのが、BMWのxドライブをベースとした四輪駆動システム。トルクの前後の分配率はアルピナ独自で、リアタイヤがより多くの仕事をするように調整を受けている。プロペラシャフトも強化された専用品だ。

サスペンションは、ビルシュタイン社製のダンパーと、アイバッハ社製のスプリングが組み合わされる。エグゾーストは、アルピナ独自のステンレス製スポーツタイプとなる。

見た目でわかりやすい違いは、なんといっても定番のフロントスポイラー。中央にはアルピナのロゴが入る。試乗車はオプションで黒く塗られた、アルピナ・クラシック21インチ鍛造ホイールを履いていた。

1本当たり4kgも標準のシルバーのホイールより軽量だという。ただし、価格は1340ポンド(20万円)も高い。筆者なら、シルバーの鍛造クラシック・ホイールを選ぶだろう。こちらも21インチだ。

ブルーのボディカラーは、アルピナの専用色。価格は3175ポンド(48万円)と安くないが、筆者なら選びたい。さらに珍しいB8に仕立てたいなら、もう1色のアルピナ・カラー、ゴージャスなグリーンメタリックも選べる。

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