【詳細データテスト】アルピナB8グランクーペ 文句なしの速さ 洗練の乗り味 やんちゃさは足りない

公開 : 2021.10.02 20:25

アルピナのフラッグシップは、スーパーカーに肉薄する速さと、高級GTらしい快適で洗練された走りに舌を巻きます。ただし、ハイパワーGTらしいエンターテインメント性だけはいまひとつ。B5との明確な差別化が望まれます。

はじめに

4ドアのパフォーマンスクーペというスタイルは、なにも最近になってはじまったものではない。ラゴンダはかなり前からこのアイデアを示していたし、フェラーリは1980年代に、エンツォにお気に入りだと言わしめたコンセプトカーのピニンを送り出している。歴史あるメーカーのほとんどが、この手の試作を行ったのではないだろうか。

しかしながら、このフォーマットが現実の商品となったのは最近のことだ。ポルシェアウディ、メルセデスやアストン マーティンフォルクスワーゲン、そしてBMWが、それを立て続けに送り出した。あのヒュンダイさえ、i30 Nファストバックという、この種のモデルを投入しているが、これはあまりひとびとの記憶に残っていないかもしれない。

テスト車:アルピナB8グランクーペ
テスト車:アルピナB8グランクーペ    MAX EDLESTON

数多くのメーカーがさまざまなやり方を試しているが、その成功の度合いはまちまちといえる。パナメーラは2009年の登場以来、ポルシェの収益を下支えしているが、ほかのモデルは十分なセールスを達成しあぐねている。

結局、この類のクルマたちはスリークなデザインに付加価値を求め、ベースとなっているセダンより高価でありながら、実用性は犠牲にしている。合理的な選択肢だとは、とてもじゃないがいえない。

それは、今回のテスト物件に関してもにたようなものだ。13万4950ポンド(約1889万円)というアルピナB8グランクーペは、9万3000ポンド(約1302万円)のB5ビターボに比べるとかなり割高に思える。4.4LのV8エンジンはもちろん、シャシーの大部分とサスペンションの基本設計は共通なのだから。

英国での販売台数はごくわずかなものにとどまるだろう。それでもわれわれは、思い切ってロードテストの対象に選んだ。というのも、これはアルピナの新たなフラッグシップであり、それだけに間違いなくめざましいものを見せるクルマになっているはずだからだ。

高嶺の花が居並ぶこのカテゴリーで、アルピナの4ドアクーペは頂点に輝けるのか。このところ強さを見せ続けているアルピナだが、622psのB8グランクーペもその列に加わるのか、興味津々だ。

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