スバル初披露「STI E-RAコンセプト」 EVスーパースポーツに託された使命とは?

公開 : 2022.01.20 05:45

オートサロンにてサプライズ披露された「STI E-RAコンセプト」。新世代EVのスーパースポーツを解説します。

オートサロンでのサプライズ

東京オートサロン(2022年1月14日~16日)の初日、報道陣向け公開日に登場された「STI E-RA1コンセプト」の姿と、STIの今後の計画を知って多くが驚いた。

事前情報として、スバル・STI(スバルテクニカインターナショナル)のブースには、近未来を予感させるEVコンセプトモデルがあると、報道陣は知らされていた。

スバルSTI E-RAコンセプト
スバルSTI E-RAコンセプト

それを受けて、大方の予想は「2022年にはトヨタとスバルが協業する量産型EVとして、bZ4Xソルテラが登場する。だから、STIとしてもEVに関する何らかの方向性を示す必要がある時期だろう」という程度のものだった。

ところが、実際に登場した「STI E-RA1」は2022年中に国内でシェイクダウンをおこない、そして独ニュルブルクリンクでのタイムアタックに挑戦する本物のマシンだったのだ。

実は、「本物のなかの本物を展示する計画もあった」(STI幹部)という。

つまり、いまいまSTI E-RA1の実車は開発の真っ最中であり、東京オートサロンのタイミングには本物の登場が間に合わなかったということだ。

ただし、STI幹部によると「本物は、今日お見せしているこのモデルとほとんど同じだ」という。

まさに、「本物に対するコンセプトモデル」を世界で初めてお披露目したことになる。

その中身について深堀りする前に、コンセプト登場の背景から見ていこう。

目先の「EVシフト」ではなく……

なぜスバルがこのようなタイムアタックモデルの製作を決めたのか?

正確に表現すれば、「スバルが」ではなく、主語はあくまでも「STIが」である。ここは大きなポイントとなる。

スバルSTI E-RAコンセプト
スバルSTI E-RAコンセプト

STIの発表によると、「地球温暖化対策を主としたカーボンニュートラルな時代において、モータースポーツの世界で新しい技術の経験と修練を積むことを目的とし、STI近未来モータースポーツスタディプロジェクト「STI E-RA チャレンジプロジェクト」を立ち上げた。

Eとはエレクトロニック(電動)、またRAはレコード・アテンプト(記録への挑戦)を意味する。

東京オートサロン発表現場で、STI幹部は「プロジェクトが具体的に動き出したのは2020年の始め」といった。

その時点で、日本を含めたグローバルでカーボンニュートラルに関する議論は盛んになっていた。

だが、日本政府が「2050年カーボンニュートラル」を念頭に置いた「グリーン成長戦略」を打ち出したのは2020年末だ。

また、グローバルでのEVシフトが本格化してきたのも、コロナ禍による自動車販売の影響が一段落し始めた2020年春から夏にかけてである。

要するに、STIとしてはグローバルや日本国内での「目先のEVシフト」に振り回されたのではない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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