「乗ればわかる!」支持される理由 新型スバル・クロストレックへ英国試乗 シャシー能力は上々

公開 : 2024.02.22 19:05

四輪駆動シャシーにマイルドHVを得た新型クロストレック シャシーバランスは良好 若干のパワー不足は否めない 歓迎すべき多様性 英国編集部が評価

6代目インプレッサのオフローダー風

2023年にグレートブリテン島へ上陸した、新しいスバル・クロストレック。アメリカ市場では、同社のベストセラーへ輝こうとしている、小さなクロスオーバーだ。

四輪駆動システムを組んだ高めのシャシーを備える一方、同クラスの競合モデルのように、車内空間にゆとりがあるわけではない。それでも、低めの全高を好むユーザーが多いことは間違いないようだ。実際に運転すれば、その理由が見えてくる。

スバル・クロストレック 2.0 e-ボクサー・ツーリング(英国仕様)
スバル・クロストレック 2.0 e-ボクサー・ツーリング(英国仕様)

基本的には、新しい6代目インプレッサ・ハッチバックを、オフローダー風に仕立てたモデル。だが、スチール製シャシーを強化し、快適性と洗練性の向上に務めたという。

欧州へ導入されるパワートレインは、2.0L水平対向4気筒のみ。e-ボクサーと呼ばれる、電圧48Vのマイルドハイブリッド・ユニットとなる。

エンジン単体での最高出力は136ps、最大トルクは18.4kg-mと限定的で、トランスミッション側に組まれた電気モーターが、17psと6.7kg-mをアシストする。0-100km/h加速は10.8秒、燃費は13.0km/Lがうたわれる。

クロストレックの強みが、路面や天候を問わないシャシーの能力。電子制御される湿式クラッチが、前後に60:40の割合でトルクを伝達する、パーマネント方式の四輪駆動システムを備える。

低速域でのトラクションを高めるトルクベクタリング機能、Xモードも備わる。タイヤは、ファルケンのマッド&スノー。最低地上高は220mmと充分で、前後のオーバーハングと傾斜路面が接する角度も、従来以上に強められた。

快適なシート EVモードの不備が惜しい

運転席へ座ると、高めの視点で前方視界は広めながら、SUVに乗っているという感覚は薄い。そのかわり、乗り降りしやすい。広々とした頭上空間や荷室容量、きらびやかなデジタル技術、高級な内装などは、期待しない方が良いだろう。

前後とも、乗員空間の足元には余裕がある。トノカバー下の荷室は、約300Lだ。

スバル・クロストレック 2.0 e-ボクサー・ツーリング(英国仕様)
スバル・クロストレック 2.0 e-ボクサー・ツーリング(英国仕様)

内装は、グレーとブラックが基調。お高めのアウトドアウェアへ似た雰囲気を与えようという工夫を感じられるが、魅力的な水準には届いていない。部分的にカーボン調のトリムが混ざり、スイッチ類や小物入れなどのレイアウトは、少しまとまりが弱い。

機能的ではあるが、センターコンソールやドアパネルの下部など、硬いプラスティックそのままな部分も少なくない。フロントシートは、入念に再設計された甲斐があり、座り心地が良い。

ダッシュボード中央には、11.6インチのタッチモニター。インフォテインメント・システムは、スマートフォンとのミラーリングへ無線で対応し、運転支援システムの調整も容易だと感じた。

発進させると、EVモードの不備が惜しいと、真っ先に感じてしまった。クロストレックは、短距離ながら、エンジンを回さず走行できるからだ。冠水した区間を渡る場面などで、有用なはずなのだが。

それ以外、3万6290ポンド(約675万円)の英国価格を考えれば、クロスオーバーとしての能力は上々。マイルド・ハイブリッドと四輪駆動システムは、急勾配の悪路も難なくクリアしてみせる。ドライバーは、トラクション・モードを選択するだけだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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