スバル初披露「STI E-RAコンセプト」 EVスーパースポーツに託された使命とは?

公開 : 2022.01.20 05:45

「STI E-RA1」どんなクルマ?

「これからSTIはどうしていくべきか?」という自問自答する中で、STI E-RAチャンレジプロジェクトが生まれたといえるだろう。

このプロジェクトは、STIにとって必然なのだ。

スバルSTI E-RAコンセプト
スバルSTI E-RAコンセプト

では、STI E-RAチャレンジプロジェクトの第1弾、STI E-RA1の中身について見ていく。

まずは外観だが、近未来のGTレーシングカーという雰囲気だ。

ボディ寸法について詳しい数字は公開されていないが、東京オートサロンのブース内に展示されていた現行GT300マシンと見比べると、サイズ感としてはかなり近いイメージがある。

ここには当然、理由がある……。

また、なんらかの国際レギュレーションに沿ったマシンでもないが、資料には「将来のモータースポーツ車両(FIA E-GT)」という言葉も出てくる。

次に、パワートレインだが、STIとしてレギュレーションがとくにないとなると、やはり四輪駆動が必然となる。

公開された資料には、「モーターはヤマハ発動機より供給のハイパーEV向けギア、インバーターを一体式としてトルク高回転タイプを採用」とある。

「四輪でダイレクトのモーターがついてため応答性が高く……」という表現もある。

そうなると、インホイールモーターなのか?

この点についてSTI幹部につっこんで聞いてみたところ……。

目標はニュル北6分40秒

「インホイールモーターではなく、ドライブシャフトを介して、四輪それぞれを独立した制御するモーターと制御システムを合計4つ搭載している」と詳細を明らかにした。

パワーは1モーターユニットあたり最大出力271.9psでマシン全体で1088psにおよぶ。

フォルクスワーゲンID.R
フォルクスワーゲンID.R

現行のGT300はもとよりGT500を大きく凌ぐスーパーマシンであることが分かる。

STI幹部によると「これまでSTIやスバルが量産車やラリーマシンなどで培ってきた、機械式の四輪駆動とはまったく違う発想が必要だ」とEV四輪駆動の難しさと技術に対する深みについて触れた。

「結果的に、車体のヨー方向のコントロールをして、操縦性や安定性を高めるという点は機械式四駆と同じだが、アプローチがまったく違う」と説明する。

そして、ニュル北コースで6分40秒という目標設定については「VWのID.Rが6分5秒だが、シングルシーター。GTカー的に発想では、中国のニオEP9が6分45秒なので、目標を6分40秒と設定した」という。

さらには「将来的には、2ドアGT(の量産モデル)の実現も念頭に置いているため、こうした目標設定を決めた」と、なんとも意味深なコメントである。

近未来のモータースポーツの在り方、そして近未来のSTIブランドの在り方について、具現化することで議論を深めていくこと。それが、STI E-RA1の使命である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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