いま運転の楽しいEVは? 6位〜4位 テスラ・モデル3 アウディRS eトロンGT クプラ・ボーン 英編集部選TOP 11(3)

公開 : 2022.10.15 09:47

ドライバーズカーと呼べるEVは? 魂を震わせる感動は得られるのか? 英編集部が優れた11台を比較し2022年の頂点を選出しました。

6位 テスラモデル3 最も一緒に暮らしやすい

現時点で最も一緒に暮らしやすいバッテリーEV(BEV)という審査なら、テスラ・モデル3はベストだったかもしれない。エネルギー効率は高く、航続距離は長い。シートは座り心地が良く、乗り心地も優しく、静かに安楽に移動できる。

さらにテスラ社が展開する急速充電器網、スーパーチャージャー・ネットワークは拡大を続け、英国なら近場で短時間にバッテリーを満たせる。インフラという面でも心強い。

テスラ・モデル3 RWD(英国仕様)
テスラ・モデル3 RWD(英国仕様)

ところが、運転の楽しさでは伸び悩む。大きなセンターモニターでゲームを楽しめたり、ちょっとした悪戯もできるが、それらは今回の評価軸とは違う場所にある。英国編集部員の誰もが、手短に試乗を終えモデル3から降りていた。

ステアリングホイールの反応はクイックながら、手のひらへ伝わってくる感触は極めて薄い。それが、滑らかなコーナリングを難しくしている。

縁石へ乗り上げたり、左足でブレーキペダルを踏むようなことをすると、トラクション・コントロールが容赦なく介入し、すべてを抑え込む。意欲的に走りたいという気持ちも、抑えられてしまう。

モデル3は後輪駆動で、回頭性は充分に鋭い。優れたドライバーズカーになりそうな素質を備えているものの、テスラはそこへ視点を向けていない。むしろ、ドライバーの気持ちを遠ざけているように感じられた。 Illya Verpraet(イリヤ・バプラート)

5位 アウディRS eトロンGT シリアスな能力

通常のアウディeトロン GTではなく、こちらはRS eトロンGT。シリアスな能力の持ち主だ。大きな駆動用バッテリーを搭載した、軽くないサルーンでありながら走りは鋭い。

フロントに238ps、リアに455psの駆動用モーターを搭載。フィアット500eが130km/hくらいで全力疾走するクロフト・サーキットのストレートで、RS eトロンGTは190km/h以上まで加速する。

アウディ eトロンGT(英国仕様)
アウディ eトロンGT(英国仕様)

ただし、評価するのは加速力だけではない。ステアリングやブレーキなどを含めた操縦性や挙動も重要といえる。しかし、RS eトロンGTはポルシェタイカンと多くを共有し、この面でもアドバンテージを備えている。

タイカンより操舵感の軽いステアリングは滑らかに反応し、コーナリング時の姿勢はフラット。ブレーキペダルの感触は踏み始めで若干曖昧ながら、それを過ぎればダイレクト感が増し強力に効く。スピードはあっという間に熱と電気エネルギーへ変換される。

横方向のグリップも高く、コーナリングスピードの遅いクルマでは2つに分かれる連続コーナーを、流暢に踊るように抜けていける。操る楽しさがある。

ステアリングホイールへはフィードバックが余り伝わらないものの、アウディのRSと呼ぶのにふさわしいBEVだ。フィーリングはやや淡白ながら、スーパーサルーンとしての能力は高く、サーキットでも動的能力を発揮できる。

洗練性も秀逸といえ、エンジンやサウンドがなくても、満たされるドライビング体験が得られることを証明した。車格に見合った豪華なインテリアも魅力。ボディカラーも美しかった。 Matt Prior(マット・プライヤー)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

いま運転の楽しいEVは? 英国編集部が選ぶ2022年のドライバーズEV TOP 11の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

テスラの人気画像