永遠に廃れない設計思想 レンジローバーが55年の歴史で変わらず受け継いできたこと

公開 : 2025.09.19 19:15

時代に合わせたキープコンセプトの歴史

あらゆる分野において、名作の次を生み出す作業は困難を窮める。結果的に初代は1970年から1996年までの長きにわたって生産されることになり、今日では熱心なファンたちによって『クラシック・レンジローバー』と呼ばれ、絶対的な存在へと昇華している。

その2代目はクラシックと若干被るかたちで1994年にデビューしている。スタイリングはいくぶんモダンになっていたが、中身も含めキープコンセプトが貫かれていた。

これに対し2002年登場の3代目は、初代の思想を再解釈することで再びヒット作となった。前後リジッドだった足まわりの形式は4輪独立懸架に改められ、オフロードとオンロードの走りがともに高められていたのだ。

3代目が誕生した21世紀のはじめ頃は、ポルシェ・カイエンをはじめとするSUVモデルが登場したタイミングと重なっている。それでも、この段階ですでに30年を超える伝統とノウハウの蓄積があったレンジローバーは、以降もライバルを寄せ付けない存在として君臨し続けることになる。

2012年に姿を現した4代目はさらなるプレステージ性を備えていたが、中身にも大きな進化が込められていた。総アルミニウムモノコックの採用である。

これは第二次世界大戦後の再生アルミニウムの活用に端を発するブランドの血統を感じさせるエピソードであり、同時に軽量、高剛性にも直結する。永遠に廃れない設計思想の元で、レンジローバーは代変わりの毎に純度を高めていると言えよう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。

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