永遠に廃れない設計思想 レンジローバーが55年の歴史で変わらず受け継いできたこと

公開 : 2025.09.19 19:15

最新こそ究極、未来との相性の良さ

5代目にして最新のレンジローバーがデビューしたのは、2021年だった。

『MLA-Flex』と呼ばれるアルミニウム主体のプラットフォームを内包した最新のレンジローバーは、初代から続くコンセプトを継承しつつ、混沌とした時代を生き抜くための順応性を備えていた。それはPHEVをラインナップした5世代目のレンジローバーにおいて、DNAと時代が求める電動化が融合したと言い換えられるだろう。

電動化に際して重量増が不可避であることは言うまでもない。具体的には100kg前後のシステム追加を求められるわけだが、その場合でもレンジローバーが先代から熟成を重ねてきた、アルミニウムによる軽量なプラットフォームがそのデメリットを相殺していることは容易に想像がつく。

また、刺激的な音を特徴としてきたスポーツカーメーカーが、流行を追ってリリースしているSUVの電動化モデルとは違って、レンジローバーはもともと静粛性の高さを目指してきたブランドであり、その点においてもEVの世界観と相性がいい。

初代レンジローバーを創造したエンジニアたちが、これほど長く続くモデルライフ、そして電動化を含む未来を予見していたわけではないだろう。だが奇しくも、現代の自動車マーケットはレンジローバーを開祖とするプレミアムSUVが中心となっている。

未来を予測することは難しいが、本物を言い当てることは簡単なのかもしれない。その答えは昔から変わっていないのだから。

レンジローバー 公式サイトを見る

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。

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