プレミアムSUVの開祖にして唯一無二の存在 レンジローバーSVに宿るビスポークの精神

公開 : 2025.09.24 11:00

静的、動的に『SV』を堪能する

自らの好みに合わせた仕様を、セールスパーソンと徹底的に話し合って(=ビスポークして)決める。それは自動車の世界に限った話ではないだろう。例えばスーツでも靴でも、ハイクラスの商品になればなるほど、顧客の要求を具現化するパーソナライズのサービスは欠かせない。

今回試乗したペトロリックスブルーの個体は『SV PHEV P550e』をベースとした、こだわりの仕様変更を含めたもの。特にグロスブラック仕上げになっているルーフやホイール、さらに室内のトリムフィニッシャーを黒く仕上げ、さらなる上質さを得ている。

そのドライブフィールは、最新のPHEVモデルらしくエンジンよりもモーターの方が強く訴えかけてくる感じが印象的だった。右足に力を込めるだけで、全長5m越えのボディがフワッと軽快に走り出すのだ。

もちろんSVモデルならではのスポーティなハンドリングを堪能することもできるし、渋滞まじりの高速道路では、前走車に追従しつつ車線の真ん中を粛々とトレースする、ADAS(先進運転支援システム)の仕上がりの良さも確認できた。

プレミアムSUVの開祖として、代変わりをしても自らのキャラクターに忠実に、しかし独自の進化を続けているレンジローバー。一度このクルマとの生活に慣れてしまうと、他の選択肢がなくなってしまうという話をよく耳にするが、今回その理由がわかった気がする。

それはイギリス車ならではのアンダーステイトメント(控え目を良しとする精神)な雰囲気や工業製品としての完成度の高さはもちろん、選んだオーナーの品格までも代弁してくれるということ。そんなクルマはレンジローバーをおいて、他にないのである。

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記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。

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