ホンダNSX

2016.08.25

パワートレイン

ホンダ先進のパワーユニットはご覧のような “システム構成” になっている。

エンジンは後席と後輪の間に3.5ℓV6ツインターボを押し込んだ。エンジン後端に直結するのがリア・モーターで、その後ろにホンダ自社開発の9速DCTが搭載される。また、左右前輪の車軸にフロント・モーターとなるツインモーター・ユニットを備えた。これらを自在に操って、MR、前輪駆動、4WDを使い分ける。システム最高出力は581ps、システム最大トルクは65.9kg-m。

また、高出力リチウムイオン・バッテリーとECU、DC-DCコンバーターという構成のパワーユニットをシート後部に搭載。前2基、後ろ1基という3つのモーターを制御するドライブユニットはセンターコンソール内に収めた。

以下にそれぞれを詳しく見ていこう。


2代目のために新開発された3.5ℓV6エンジンは低重心化を目的にVバンク角を75度に設定し、エンジンスペースぎりぎりまで角度を広げた。オイル潤滑は新型ではドライサンプ式だ。

エンジンは組み上げ後に約1時間、距離にして240km相当の慣らし運転を行い、専用の設備で回転バランスを計測。アンバランスがある場合、リア側では3種類のバランス用ボルトをフライホイールに装着し調整、フロント側ではクランクプーリーの適切な位置にボルトを取付け改善する。エンジン単体のスペックは最高出力507ps、最大トルク56.1kg-mと強力だ。

NSXが搭載するモーターのなかで、後輪の駆動をアシストするリア・モーターがダイレクト・ドライブモーターである。クランクシャフトに直結(エンジンの直後に搭載)したことで、DCTがどのギア段にあってもターボラグを補うアシスト力を発揮できる。48ps、15.1kg-mを発揮するこのモーターが、エンジンの冷却系統と連携した水冷システムを構築しているなんてハイ・パフォーマンスカーならではの作りこみだ。

トランスミッションは自社開発の9速DCTを専用設計し、縦置きレイアウトに対応した。ハード/ソフトともにホンダ内製としたこのミッションは、エンジンに続くリア・モーターハウジングと接合し、そのわずか107mm後方からドライブシャフトを取り出すコンパクトな設計になっている。デュアルクラッチには摩擦材に適合する鉱物油を、高温になる変速ギアとデフには化学合成油を採用し高出力に対応した。最高速度の307km/hには8速で到達し、9速は燃費と快適性を重視、100km/h走行時のエンジン回転を1700rpmに抑えた。

左右前輪を制御するのがフロント・モーターとなるNSX専用のツインモーター・ユニットである。1基あたり37ps、7.4kg-mを発揮するユニットは加速時にはドライバーが望むトルクを発生。コーナリングのアクセル・オンでは前輪左右それぞれにトルクを供給するだけでなく、アクセル・オフ時にはマイナストルクを左右独立で制御し、減速時のトルクベクタリングを実現する。

フロント・モーターの許容回転数は15000rpm、アシスト可能速度域は200km/hとし、それ以上の超高速域ではタイヤを切り離してモーターを保護する。


3つのモーターをつかさどるパワーユニットは、重心近くに搭載した。まず、リチウムイオン・バッテリーセルとECU、DC-DCコンバーターで構成されるIPU(インテリジェント・パワーユニット)は、シート後部の強固なボディフレームで保持。IPUの冷却には独自のエアコン協調冷却システムを新開発し、通常時はキャビンの空気で冷却、サーキット走行など発熱量が増大するシーンではエアコンの冷気を導入し冷却をすすめる。

IPUで充放電する直流と、3つのモーターで駆動・発電・回生する交流とを相互変換するPDU(パワードライブ・ユニット)は、センターコンソール下に配置した。

また、燃料タンクは2つに分割され、エンジン前方でまたぐように搭載。ガソリンの量に影響されないパフォーマンスと衝突性能の向上を両立している。

走行モードはQUIET、SPORT、SPORT +、TRACKの4モードを用意。QUIETおよびSPORTではFFのEV走行も可能だ。
 
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