なぜこんなに気持ちよいのか? ルノー・アルカナ 一般道と高速道路 試乗で検証

公開 : 2022.07.25 11:40

「ふーん」とならないハイブリッド

そんなアルカナのハイライトは、なんと言ってもルノー初となる「Eテック・ハイブリッド」システムの搭載である。

自然吸気の1.6直列4気筒ガソリンエンジン(94ps/15.1kg-m)に走行用モーター(49ps/20.9kg-m)とHSG(ハイボルテージ・スターター&ジェネレーター:20ps/5.1kg-m)というふたつのモーターを組み合わせ、トランクルームの下に設置したリチウムイオンバッテリー(1.2kWh)から電力を供給しながら、ガソリンエンジンと共にハイブリッド走行をする。

日本はハイブリッド大国だから、ここまでは「ふーん」な感じかもしれない。

しかしアルカナは、その中身が凝っている。

ご存じの通りルノーは日産および三菱とのアライアンスを結んでおり、部品やシステムを共用している。今回で言うと、大物としてはクルマの土台となるプラットフォーム(CFM-B:コモン・モジュール・ファミリーB)がそれにあたる。

でも肝心要なハイブリッドシステムの中身は、三社共にまったく共通性がないからすごく面白い。

日産はエンジンが完全な発電機となるシリーズハイブリッドの「eパワー」。三菱はアウトランダーとエクリプス・クロスで、EV走行を主体としながら高速巡航時にガソリンエンジンの効率を組み合わせる「パラレル式プラグインハイブリッド」を推す。

そしてルノーは前述した「Eテック・ハイブリッド」システムに、ガソリンエンジン用に4段、モーター用に2段のギアを組み合わせた。さらにエンジンとモーターの間を、F1譲りの技術だという「ドッグクラッチ」でつないだのである。

彼らの言い分はこうだろう。ハイブリッドは高速巡航時にモーター走行するとなると、その発電機となるエンジンが常時高回転で回り続けねばならない。

西ヨーロッパの多くは高速道路の最高速度を130km/hに規定しているし、アウトバーンともなれば無制限区間もある。そんな状況下では、ギアが必要なのだと(実際の彼らはもっと「飛ばす」であろうことも含め)

そしてエンジンを4段、モーターを2段と複雑化したのは、それぞれの小型化を最大効率で狙った結果だと思われる。

果たしてその走りはというと、これがハツラツとしておりとても気持ちよかった。

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記事に関わった人々

  • 執筆

    山田弘樹

    Koki Yamada

    1971年生まれ。自動車雑誌編集部に在籍し、その後フリーランスに。編集部員時代にレースをはじめ、その経験をちょこっと活かして執筆活動中。でも、スピードの出るクルマは実は苦手です。2017年暮れに意を決して、憧れ続けた空冷ポルシェ911(993)を購入。消耗品の高さに都度涙を流しながらも、基本的には幸せ満喫中。最初はおっかなビックリだったけど、過走行でもポルシェは頑丈でした。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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