揺れる『日産自動車』の近未来(後編) 信じたくなるエスピノーサ社長の自動車愛【不定期連載:大谷達也のどこにも書いていない話 #6】

公開 : 2026.06.24 11:50

エンジニアと自動車専門誌編集者という経歴で膨大な取材量を持つ大谷達也による、『どこにも書いていない話』を執筆する不定期連載です。第6回は、経営再建で揺れる日産自動車の近未来がテーマ。その後編です。

45のモデルを4つのカテゴリーに分類

先日、日産自動車(以下日産)が神奈川県横浜市のグローバル本社と同厚木市のテクニカルセンターで実施した『長期ビジョン説明会』は、今後の同社の発展を期待させるに十分な内容だった。その商品ポートフォリオから近未来を探る話、その後編となる。

昨年の上海モーターショーで公開したデュアルキャブピックアップの『フロンティア・プロ』は、1.5リッターのターボチャージャー付き4気筒エンジンと、トランスミッション内に搭載した高出力モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドシステムを採用している。

長期ビジョン説明会でプレゼンする、日産のイヴァン・エスピノーサ社長。
長期ビジョン説明会でプレゼンする、日産のイヴァン・エスピノーサ社長。    日産自動車

このパワートレインは、日産の中国現地合弁会社である鄭州日産汽車有限公司が中心になって開発されたようなので、日産のグローバル化はパワートレイン開発にまで及んでいると見てよさそうだ。

こうしたデザイン戦略、パワートレイン戦略を土台としながら、日産は45のモデルを以下の4つのカテゴリーに分類し、それぞれの役割を明確にするという。

■ハートビートモデル:日産らしさを体現し、ブランドの情緒的価値と革新性を担うモデル
■コアモデル:グローバルで規模と安定性により事業を支えるモデル
■成長モデル:新たな需要の拡大を担うモデル
■パートナーモデル:規律ある協業を通じて市場カバレッジを広げるモデル

それぞれの代表車種を挙げると、ハートビートモデルはリーフ/スカイライン/Z、コアモデルはエクストレイル/ローグ/キャッシュカイ、成長モデルはエルグランド/サクラ、パートナーモデルはフロンティア・プロ/NX8となる。

『AIディファインド・ヴィークル』という独自性

ここまではデザインとパワートレインという視点から日産の商品ポートフォリオを紹介してきたが、もうひとつ、日産が今後の軸として据えているのが自動車の知能化である(編集部注:本稿執筆は、本日発表の『日産スケーラブルオープンプラットフォームならびにSDVソフトウェア開発プロセス』に関する取材の前となります)。

これについて日産は、将来的に90%のモデルにAIドライブ技術を搭載するとともに、最近流行の『ソフトウェア・ディファインド・ヴィークル』(SDV)ならぬ『AIディファインド・ヴィークル』(AIDV)という言葉を生み出し、独自性を打ち出そうとしている。

中国現地合弁会社である鄭州日産汽車有限公司から発表された、『N6』。
中国現地合弁会社である鄭州日産汽車有限公司から発表された、『N6』。    日産自動車

日産がいうAIドライブ技術は、自宅を出発してから目的地に到着するまで先進運転支援システムが作動するエンド・ツー・エンド自動運転技術のことで、次世代プロ・パイロットと位置付けられている。

これは英ウェイヴ社のソフトウェア技術を活用したもので、その試作車には11個のカメラ、5個のレーダーセンサー、1個の次世代LiDARセンサーを搭載。周囲の状況を把握しながら『熟練ドライバーのような周囲に調和した安全な運転』を実現するという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    大谷達也

    Tatsuya Otani

    1961年生まれ。大学で工学を学んだのち、順調に電機メーカーの研究所に勤務するも、明確に説明できない理由により、某月刊自動車雑誌の編集部員へと転身。そこで20年を過ごした後、またもや明確に説明できない理由により退職し、フリーランスとなる。それから早10数年、いまも路頭に迷わずに済んでいるのは、慈悲深い関係者の皆さまの思し召しであると感謝の毎日を過ごしている。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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