クルマ漬けの毎日から

2026.06.29

イギリスを代表する自動車博物館「ナショナル・モーター・ミュージアム」で、ある体験型イベントが行なわれ、クロプリー編集長も参加しました。

自動車博物館内を愛車で走行!【クロプリー編集長コラム】

もくじ

ミュージアムで特別な体験

ミュージアムで特別な体験

自動車博物館のように、基本的に大きな変化のないところで来館者の関心を維持する秘訣は、人々に予期せぬ驚きを与えることだと専門家はいう。

この言葉どおり、イギリス南部のナショナル・モーター・ミュージアム(ハンプシャー州ビューリ)では、ミュージアムの運営に深く関わるモンタギュー卿と彼のスタッフたちが、今年は来館者が驚くようなイベントを開催し、それを見事に実証してみせた。

恒例の「サマー・パーティー」の趣向を変え、参加者が自身の「特別なクルマ」でミュージアムの館内中央を通り抜けられるようにしたのだ。

参加者は愛車を運転しながら、60万ポンド(約1億2600万円)かけて改修されたミュージアムのエントランスホールや、上階の展示エリアの様子を車内から眺めることができた。

妻と私も我が家のアルピーヌA110を持ち込み、このまたとないユニークなイベントに参加し、記念に写真を撮ってもらった(上の画像)。

ナショナル・モーター・ミュージアムの館内。この自動車博物館の起源は、第3代モンタギュー男爵(先代のモンタギュー卿)がヒストリックカーのコレクションを一般公開した1952年にさかのぼる。現在も第4代モンタギュー男爵のラルフ・ダグラス=スコット=モンタギュー卿が運営に関わっている(国が運営する博物館ではない)

私たちゲストはまた、ナショナル・モーター・ミュージアムが取り組んでいる一大プロジェクトの成功を願って乾杯することもできた。

それはこの自動車博物館が所蔵する大変貴重な『サンビーム1000hp』というクルマに関するプロジェクト。

V12エンジンを2基搭載するサンビーム1000hpは、1927年にアメリカのフロリダ州デイトナビーチで、自動車として世界初となる時速200mile(約320km/h)を超えるスピードを記録した。

その「ランドスピードレコード(地上最速記録)」を叩き出したのは、第一次世界大戦後のイギリスを代表するレーシングドライバーのヘンリー・シーグレイブ少佐(1896-1930)だった。

ミュージアムは来年3月にサンビーム1000hpを再びデイトナビーチへ送り込み、記録を打ち立てた100年前の走りを再現させようとしている。

サンビーム(Sunbeam)はイギリスの自動車メーカー。1877年に自転車メーカーとして創業し、その後自動車製造を開始。『サンビーム1000hp』はV12エンジンを2基搭載し、総排気量はなんと約45リッター、出力は約1000馬力。1927年の地上最速記録のためにつくられた怪物マシン。

100年前に製造されたサンビーム1000hpは、まず今年8月に開催されるペブルビーチ・コンクール・デレガンスで大いに注目を集めるだろう。

その後、1927年の世界記録を実際の走行で祝う記念プロジェクトに向けた準備に入る。

これまで3年かけてレストア(2基のエンジンのリビルト、新しいギヤボックスの製作など)が行なわれてきたが、イギリス・アメリカ間の大西洋横断輸送費、さらに実走行に向けたコストまで考えると、このプロジェクトを成し遂げるにはまだかなりの費用が必要になりそうだ。

もし私と同じようにこのプロジェクトにロマンを感じた方がいらっしゃいましたら、ぜひナショナル・モーター・ミュージアムへの寄付を通して、応援していただければ幸いです。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    小島薫

    Kaoru Kojima

    ドイツ自動車メーカーの日本法人に在籍し、オーナーズマニュアルの制作を担当。その後フリーランスで翻訳をはじめる。クルマはハッチバックを10台以上乗り継ぎ、現在はクーペを楽しんでいる。趣味はピアノ。

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