[ABARTH 70周年]嶋田智之が、いま見つめるABARTH 595

プロジェクトXな2台 フィアットX 1/9 ランチア・ベータ・モンテカルロ

2019.04.21

スタイリングだけではない、優れたパッケージング

一方で、スティーブが所有するベビー・フェラーリ、フィアットX1/9は1985年製。ベルトーネ・デザインのインテリアは、赤いレーザーシートに斜めのストライプがサイケデリックなドアトリムパネル、時計と逆回転に回るタコメーターなど、車内にいるとどこか恥ずかしい。車内空間はモンテカルロより狭いが、室内の幅や運転席の足元、ペエダル配置は少し余裕があり、スティーブは気持ちよさそうにオープンエアを楽しんでいる。

「このクルマは3台目です。ボディのスタイリングだけでなく、ルーフがフロントのボンネット内に収納できるパッケージングの賢さも、気に入っています。数年前にスコットランドをこのクルマで巡りましたが、2400kmほど走りました。長時間乗ってみると、その快適さに驚かされると思います。決して速いクルマではありませんが、コーナリングは素晴らしく、運転もとても楽しめます。若い頃から好きなクルマだったんです」 と話すスティーブ。


「このバージョン・スペシャルというグレードの走行距離は5万6000kmほど。わたしの母と娘が所有していたクルマになります。母が1985年に購入して数年間走った後、北アイルランドの登録に変更しました。2000年に母が病気にかかり、娘に名義を変更したのですが、運転はほとんどしなかったようです。でも、9年間に渡って一般道を走行できるように保ってくれました。車検のために1年でたった2km程度しか走っていなかったのです」

「わたしが購入した時点での走行距離は約3万8000km。まだ購入時の納品書類があり、新車時に運輸局に登録したままの状態も保っています。アルミホイールにK&N社のエアフィルター、イグニッション・システムと電動のフュエルポンプなどを変えていますが、残りはオリジナルのままです。また、リアクォーターパネルの下側と、ドアパネルは交換していますが、オリジナルは活かしたまま、溶接はしていません」


この2台のクルマには共通性を感じ取れそうだと想像する読者もいると思うが、それは正解。どちらも最大8000rpmまでのタコメーターを備え、レッドゾーンは6000rpmから。インスツルメントパネルは、長方形のフレームで縁取られている。肉付きの良いスポーティなステアリングホイールが組み合わされ、操舵の重さも、ステアリングレシオの設定も適正だ。フロントタイヤの状況も積極的に伝わってくる。ボディコントロール性も良好で、マニュアル・シフトもできが良い。シフトチェンジのフィーリングは正確で、素早く操作できるようにシンプルでしっかりしたHパターンが刻まれている。

 
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