ロードテスト メルセデスAMG C63 Sクーペ ★★★★★★★★★☆

2019.05.12

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

このAMG、ストレートスピードに不足を感じることはまずないが、数十年にもわたりこのブランドのロードカーはハンドリングの正確さやコーナリングでの安定ぶりは、BMW Mはもちろん、ときにはアウディのクワトロGmbHが放つライバルにさえ後れを取ってきた。

その不足はかつてよりかなり小さくなり、おそらくステアリングフィールやシャシーバランスに関していえばなくなったといっていい。間違いない。C63 Sの名声は、膨らんだホイールアーチを擁するシャシーや圧倒的なV8によるものだが、実際、驚くほど直観的かつ予期しやすいクルマで、しばしば素早く走らせるには繊細なクルマだ。

最初に感じるのはグリップとバランスで、ダイナミックエンジンマウントの助けもあって、これまでのAMGモデルではもっとも平静な方向転換をみせる。AMG GTを含めてもだ。計算通りに運転すれば、魅了されるほどの速さを、安定したまま叩き出す。速度計のチェックを怠るわけにはいかないほどだ。ステアリングは、このクラスの水準からすれば極めてコミュニケーションに富むが、われわれの好みからすればリニアさには満足できない。

しかし、速さだけではない違う面も、このクルマは持ち合わせている。英国のたいていの道路では、ダンパーのモードはコンフォートがおすすめだが、場合によってはスポーツでも悪くない。トルクベクタリングを新採用したAMGダイナミックプログラムは、もっともアグレッシブなマスターモードに。ESPはカットして、逆に9ステージ式トラクションコントロールは寛容なセッティングにしてさえ、C63 Sがドライバーを楽しませこそすれ、脅かすようなことは滅多にない。

段階を上げても、電子制御デフは滑らかな後輪駆動のバランスを支え、タイトだがこれまでより滑らかな上下動のコントロールはテールを振り回す舞台を整えてくれる。これはとんでもなく速く、また遊べるクルマだ。その能力を実証し、コーナリング中のどの場面でも信用を尽きさせることがない。BMW M4では、この感覚を決して味わえない。

 
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