麗しきフェラーリ初ミドシップ・スポーツカー ディーノ206GTに試乗 後編

2019.09.07

サマリー

英国では絶滅状態となってしまった、ディーノ206GT。フェラーリが設計したクルマとしては初めてのミドシップ・モデルであり、マラッネロにとって特別な1台であることは間違いありません。貴重な1台を、英国で試乗しました。

もくじ

居心地のいいコクピット
軽快なステアリングに鋭いスロットル
ディーノ:新世代誕生の背景
V6エンジンの量産化に協力したフィアット
ディーノ206の生産台数は150台
ディーノ206GT(1967年〜1969年)のスペック

居心地のいいコクピット

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

ディーノ206の重いクラッチペダルを踏み込み、とても居心地が良いコクピットで、シフトゲートの隅にある1速を探す。デザイナーやエンジニアは初めから、我慢を強いることなく、どのようにドライバーがクルマに座れるのかを真剣に考えていたのだろう。

低速域では、リミテッドスリップデフからのギアの唸りが耳に届く。ステアリングホイールの重さは適当だが、ブレーキペダルのフィーリングは温まるまで皆無だった。クラッチはスムーズだが、かなり重い。

ディーノ206GT(1967年〜1969年)
ディーノ206GT(1967年〜1969年)

写真撮影に狭い道を1速と2速を使いながら走る。ゆっくりと水たまりを縫っていても、206GTの本性はわからない。3速へと入れてみる。246と比較して低速トルクの細さはあまり気にならなくなるが、4000rpm以下の加速は鈍く、5000〜6000rpmで走るのが良さそうだ。ここまで回せば、力強くクルマは加速し、聞き惚れるような金属的なノイズが響き始める。変速の度に聞こえるトランスミッションからのノイズを、エンジンからの素晴らしいサウンドが打ち消してくれる。

それぞれのギアにピッタリの道がありそうだが、イタリアのアウトストラーダなら、5速だろう。7500rpmで、230km/hに届くはず。今回はその半分もスピードを出さなかったが、問題はない。シフトアップすると、官能的なラインを持つノーズ越しに流れる景色は早くなる。フロントフェンダーの魅力的な峰に、ペナイン山脈の大自然が映り込んでは、大きく湾曲したフロントガラスへと消えていく。着座位置は路面に近く、完璧なコントロール性が他にはない興奮を引き出す。

 
最新試乗記

人気記事