6.7億円 アストン マーティン落札額の新記録 DB5ボンドカーがオークションに

公開 : 2019.08.17 06:20  更新 : 2021.10.11 09:24

007シリーズの劇中車「アストン マーティンDB5ボンドカー」がオークションに。ギミックもちゃんと残る本物だけに、アストンとして新記録となる6.7億円で落札されました。

RMサザビーズ・モントレー・オークション速報

text:Kazuhide Ueno(上野和秀)
photo:RM Sotheby’s/Simon Clay

世界で最も有名なアストン マーティンといえば、映画007シリーズでジェームス・ボンドの秘密兵器として活躍したDB5だ。劇中車としてそれまでにないギミックを満載して、DB5のパフォーマンスと美しいスタイリングと共に見る者をその世界に引き込んだ。

007シリーズではその後、様々なクルマが名脇役として使われてきたが、DB5を超えるインパクトを持つものは見当たらない。8月15日から開催されているRMサザビーズ・モントレー・オークションは極めつけといえるモデルが多数用意されたが、その中に本物のアストン マーティンDB5ボンドカーが姿を見せたのである。

「ボンドカーと言えば、このギミック。入札はヒートアップした」
「ボンドカーと言えば、このギミック。入札はヒートアップした」

1964年に公開された007シリーズ3作目となる「ゴールドフィンガー」と1965年に公開した「サンダーボール」のために製作された特装撮影仕様で、敵を欺くギミックや当時としては未来的な装備が特徴だった。

スーパー劇中車の先駆け

その装備を説明すると、フロント・ターンシグナルランプの奥に備わるマシンガン、飛び出すバンパー・オーバーライダー、敵のタイヤを破壊するホイール・スピナー、後ろからの銃弾を遮るためにトランクから立ち上がる防弾スクリーンを備える。

テールランプからは後続車のタイヤをパンクさせるマキビシが飛び出し、リア・バンパー下からは目くらましスモークを出すことがでる。ライセンスプレートにいたっては、回転して3種に変えることができた。

「後続車に襲われても、これなら安心」
「後続車に襲われても、これなら安心」

インテリアを見るとコンソールにはレーダー追跡スコープが備わり、ドアポケットには電話が収まり、助手席に乗った敵を車外に放り出すイジェクトシートが装備されるなど、ファンを唸らせるアイテムが豊富。またトレイを引き出すと拳銃とナイフ、手榴弾が姿を現すのも本物ならではといえる。

映画007シリーズでの活躍によりアストン マーティンDB5はワールドワイドに知られる存在となり、美しいスタイリングと優れたパフォーマンスが認められて、販売台数を急増させる大きな要因となった。

640万ドルで落札

007シリーズ「ゴールドフィンガー」の撮影用にシャシーナンバーDB5/2008/R(今回の出品車)とDB5/2017/R.という2台が製作された。このDB5/2008/Rはプロモーション用ということもあり、ハードに使われなかったおかげで当時の姿を良く保っている。

事前に発表された予想落札額は400~600万ドルとされていたが、オークションが始まると世界的な人気車だけに激しい入札が続いた。

「美しいスタイリングもボンドカーに不可欠な条件」
「美しいスタイリングもボンドカーに不可欠な条件」

最終的に予想額を超える640万ドル(6億7840万円)で決着がつき、新たなオーナーのガレージに収まることになった。なお、今回の落札額はアストン マーティンとして過去最高の額となっている。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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