プラットフォームは日産アリアなどと共用 アルピーヌA390 GT(1) ブランド初の四輪駆動「ファストバック」

公開 : 2026.05.20 18:05

アルピーヌ初の四輪駆動となる、クロスオーバーのA390。GTでは3モーターで401psを発揮し、充分なエネルギッシュさを秘めます。他方、操縦性は期待に届かない様子。UK編集部の評価です。

狙われたA110の兄弟という位置付け

フランスのアルピーヌは、2030年までに4台の高性能バッテリーEVを提供する構想を描いている。その第一弾、A290へ続くモデルが、今回試乗したA390だ。背の高い5シーターのクロスオーバーといえるが、同ブランドはあえてそうは呼んでいない。

スタイリングは、滑らかに弧を描くルーフラインや、強く寝かされた前後のガラス、短いオーバーハングなどでスポーティ。デザイナーは「スポーツ・ファストバック」と表現し、ミドシップ2シーターのA110の兄弟、という位置付けが狙われている。

アルピーヌA390 GT(英国仕様)
アルピーヌA390 GT(英国仕様)

観察すると、リアピラーの造形がA110との結びつきを感じるポイント。オプションのトリコロール・エンブレムで飾れば、一層そのイメージは強化される。

全長は4615mm、全幅は1885mmあり、大きめのCセグメントに位置し、ライバルはかなり多い。3基の駆動用モーターを実装し、ブランド初の四輪駆動となる。

3モーターでGTは総合401ps、GTSは469ps

プラットフォームは、日産アリアルノー・セニック E-テックなどとの共有で、オールスチール製。しかし、アルピーヌ独自開発の鋳造アルミ製サスペンション・タワーや、駆動用モーターのサブフレームが組まれている。

サスペンションには油圧バンプストッパーが実装され、フロントはストラット式で、リアはマルチリンク式。A110のように、ダブルウィッシュボーン式ではない。シンプルさを求めて、ダンパーはアダプティブではなく、後輪操舵システムも備わらない。

アルピーヌA390 GT(英国仕様)
アルピーヌA390 GT(英国仕様)

駆動用モーターは前に1基、後ろに2基マウントされ、前者は永久磁石を用いない他励式モーターで滑走時の効率を高めている。最高出力は、GTグレードでは3基とも134psで、総合401ps。GTSでは156psへ強化され、総合469psへ上昇する。

試乗したA390 GTの場合、車重は2156kgと、このクラスの電動クロスオーバーとしては平均的な範囲。それでも、テスラモデルY デュアルモーターより140kgも重い。前後の重量配分は、50:50と好バランスだ。

アルピーヌらしいタイトなコクピット感

インテリアは概ね上質で、実用性も悪くない。運転席のポジションは、クロスオーバーとしては低めでスポーティ。クロスとアルカンターラ張りのシートは、サイドボルスターが控えめで座りやすい。オプションで、サベルト社製スポーツシートも組める。

内装にはセニック E-テックとの共有部品も少なくないが、ドアパネルやダッシュボードはアルカンターラで覆われる。傾斜したフロントのガラスやピラーと相まって、アルピーヌらしいタイトなコクピット感が演出されている。

アルピーヌA390 GT(英国仕様)
アルピーヌA390 GT(英国仕様)

サテンクロームのトリムも効果的で、6万ポンド(約1260万円)を超える、英国価格を納得させるのに充分な空間だろう。エアコンの操作パネルやパワーウィンドウのスイッチは、樹脂感を隠さないが、タッチモニターへ集約されるより遥かに操作しやすい。

フラットなベンチシートの後席は、駆動用バッテリーがフロアに敷かれるため、期待ほど広くはない。上下方向の余裕はライバルに及ばず、大人はくつろぎにくいかも。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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