劇画のクラシック、「ゴルゴ13」の50年……ゴルゴ展にAUTOCARが突撃

公開 : 2019.01.10 06:10

なぜAUTOCARでゴルゴ？……だって僕らがクルマもゴルゴも好きなんだから、読者の皆さんもそうでしょ？　という勝手な思い込みから突発的に始まったこの企画。スキ・キライはあるでしょうが、とにかくお付き合いください。

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太い眉に眼光鋭い三白眼のスナイパー、デューク東郷を主人公としたさいとう・たかをの劇画作品「ゴルゴ13」が連載50周年を迎えた。

50周年を記念して全国を巡回している「ゴルゴ13」展。首都圏では9月22日〜11月30日まで、川崎市市民ミュージアムで開催されていた。

会期中は漫画ワークショップやさいとう・たかを氏のサイン会、本展の公式テーマソングを制作した山本恭司氏のスペシャルライブ、そして'83年に制作された劇場版アニメーションの上映会なども行われた。

会場は『軌跡』『狙撃』『女性』『制作』『人気』と5つのエリアに分けられ、多面的に「ゴルゴ13」の魅力と歴史、そしてその舞台裏を紹介した。

ゴルゴへの依頼方法やゴルゴの愛用品についてなどの蘊蓄が展示されたコーナーでは、「えーっ、こんな依頼方法もあったんだ！」などと感心する一幕も。実に連載期間が50年にもおよぶ作品なので、ファンであっても意外と知らなかった…という事実も多い。

直筆の原稿も数多く展示された。’77年に描かれた漫画作品の一コマとは思えないほどのディテールの正確さと情報量に驚かされる。第126話「ピリオドの向こう」©さいとう・たかを

こちらは背景などを描く際に資料として用意された写真の数々。日本国内から海外まで、登場するあらゆる国の「におい」を追求して資料が集められた。

さいとう・プロダクション秘蔵の武器庫から初公開された、作画資料用のモデルガン。カスタマイズやフルスクラッチなどもスタッフの手で行われているという。こちらのM16はスナイパーライフルにモデファイされているが、木製のハンドガードやチークパッド付のストック、ハンドレスト付のピストルグリップなど、作中のゴルゴが使用している物とも仕様が異なっている。

ゴルゴの愛銃、M16の作中での仕様の変遷を説明したボード展示。スコープのマウント方法や各部のディテール、ベースとなるモデルの違いなどがわかる、非常に貴重な資料だ。

ゴルゴ仕様のM16のスコープマウント部の形状について熱く語るAUTOCARサイトウ。ちなみに上がスタンダードのM16A1で、下がゴルゴ仕様となる。

川崎市市民ミュージアムでは1月14日まで『ビッグコミック 50周年展』を2階・企画展示室2で開催している。

手塚治虫、石ノ森章太郎、白土三平、さいとう・たかを、水木しげるといった創刊時に掲載された作品から、現在連載中の石塚真一『BLUE GIANT SUPREME』や、かわぐちかいじ『空母いぶき』といった歴代の名作の原画や複製原画などが320点以上展示されている。

『｢ビッグ｣な名作アラカルト』と題されたコーナーでは、広大な会場内の壁一面に歴代の「ビッグコミック」のバックナンバーの実物を展示。しかも、展示の一部は実際に手に取って読むことができるようになっている。

武蔵小杉駅からアクセスしやすい川崎市市民ミュージアムは緑豊かな等々力緑地内、等々力陸上競技場のすぐそばにある。魅力的な企画展を精力的に開催しているので、ぜひ足を運んで欲しい。

展示された原画のひとつ。M16のメカニカルな質感も素晴らしいが、タイトルのタイポグラフィー（文字）が実は手書きのレタリングであることがわかる。第87話「地獄への回廊」©さいとう・たかを

「ゴルゴ13」に登場した女性キャラクターを100人厳選して紹介したコーナー。「やはり僕はエバ・クルーグマンですかねぇ」とはAUTOCARトクナガ。ちなみにさいとう・たかを氏は女性キャラクターを描く際に、自らの好みなどは反映させないという。

女性からの人気も高い名作、第81話「海へ向かうエバ」（'74）。会場ではそのストーリーを当時の原画で鑑賞することができた。©さいとう・たかを

凄腕の暗殺者であるエバとゴルゴの再会シーン。3年と6か月ぶりの再会を喜ぶエバだが、実は今回のゴルゴの狙撃対象は彼女だった。第81話「海へ向かうエバ」©さいとう・たかを

ゴルゴ仕様のM16を実際に手に取ることができるコーナーも。少し腰を落とした前傾姿勢でエイミングするAUTOCARサイトウ。あまりに堂に入ったその様子に、同行の担当者の方から「カッコイイ･･･」の言葉が。

さいとう・たかを氏の仕事場を再現したコーナー。等身大ゴルゴはプロダクションの応接室からお借りしてきた物だとか。手前のソファーに腰掛けて撮影もできる。

再現されたさいとう氏の作業机。意外にも普通の事務机を愛用している。ここからゴルゴが生み出されているのだ。

今までに刊行されたゴルゴの刊行物の一部も展示された。「ゴルゴ13」は「ビッグコミック」での掲載の後、別冊や総集編、単行本や文庫サイズなどさまざまなフォーマットで刊行されているため、そのバリエーションは膨大だ。

会場の最後に展示されていたボードにAUTOCARトクナガは「おお、コレをもってくるか〜」と関心。ゴルゴの数少ない狙撃失敗シーンは第61話「アクシデンタル」（'72）から。弾丸のミスファイア（不発）に驚くゴルゴの目が印象的だ。

「ゴルゴ13」連載50周年記念号の「ビッグコミック」2018.12.10号。金子ナンペイ氏が描く表紙イラストは、’73年の実写映画版「ゴルゴ13」の高倉健氏演じるゴルゴだ。

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