いま1番運転の楽しいEV降臨! ニュル8分切りの650ps ヒョンデ・アイオニック5 Nへ試乗

公開 : 2024.04.09 19:05

四輪駆動で650psを叶えたアイオニック5の「N」 いま最も運転の楽しいEV トップレベルの動的能力 タイカン以上の回頭性 一般道でも充足感は突出 英国編集部が評価

いま最も運転の楽しいバッテリーEV

一気に開花した、電動化技術。2000馬力超えのハイパーカーから、豪奢なサルーン、小さなホットハッチまで多彩なモデルが登場しているが、ピュアなドライバーズカーとして開発された最初の1台といえるのが、ヒョンデアイオニック5 Nだ。

ヒョンデの高性能部門、Nパフォーマンスは絶好調。フォード・フォーカス RSの開発を率いた1人、ティロン・ジョンソン氏を招聘するなど、優れた人材確保にも意欲的だ。内燃エンジンで走るi30やi20のホットハッチ仕様は、クラス最高の仕上がりにある。

ヒョンデ・アイオニック5 N(欧州仕様)
ヒョンデ・アイオニック5 N(欧州仕様)

かくして、主観だけでなく客観視しても、アイオニック5 Nは今最も運転の楽しいバッテリーEVだ。通常のアイオニック5をベースに、大幅な手が加えられている。早速、詳しく見ていこう。

ボディシェルは、溶接ポイントを42か所追加し高剛性化。接着剤は2.1m、長く塗られている。ステアリングとモーターのマウント、サスペンション・サブフレームは強化された専用品が組まれる。

駆動用モーターは2基載り、フロント側は226ps、リア側は383psを発揮。システム総合での最高出力は、通常609psとなる。オーバーブースト機能を用いると、最大10秒間650psへ高められる。

駆動用バッテリーは84kWh。急速充電能力も、最大350kWまでとかなり速い。

パワートレインの熱管理は共通の課題といえるが、ドライブモードを「Nレース」へ切り替えると、僅かにパワーが絞られ加熱を抑制。8分切りのペースで、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェを2周できるらしい。

エンジン車に乗っているような変速機能

インテリアは、サポート製の高いシートと高剛性なペダル、上質な内装素材などでアップグレード。高性能であることを、静かに主張する。レイアウトは論理的で、主要な機能には実際に押せるハードボタンが用意され、運転中でも扱いやすい。

ステアリングホイールには4つのボタンが追加され、6種類のドライブモードとオーバーブースト機能を操作できる。任意のプリセットを保存も可能だ。

ヒョンデ・アイオニック5 N(欧州仕様)
ヒョンデ・アイオニック5 N(欧州仕様)

駆動用モーターの反応、ステアリングの重さ、ダンパーの硬さ、リアのリミテッドスリップ・デフの効き、スタビリティ・コントロールの介入、ヘッドアップ・ディスプレイのグラフィックなどが調整可能。合成エンジンノイズも、オン/オフできる。

その合成ノイズをオンにすると、擬似的な変速機能を有効にするかも選択できる。内燃エンジンの高性能モデルに乗っていると勘違いするほど、リアルなのが面白い。

Nブレーキと呼ばれる機能で、回生ブレーキの強さも任意に調整できる。最も強くすると、アクセルオフでABSが動作するほど強力な減速を得られる。

フロントとリアの駆動用モーターは、トルク発生の割合を指定でき、ドリフト・オプティマイザーと呼ばれる、ドリフトで遊べる機能も実装。そもそもクラッチ操作は不要だが、ローンチコントロールも備わる。

電圧800Vの電動パワートレインは、極めてタフ。20分間ハードに走り、20分充電し、再び20分責め立てるというルーティンを連続でこなせるそうだ。0-100km/h加速は、3.4秒がうたわれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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