更に進化した自動運転モデル、メルセデス・ベンツF015

公開 : 2015.01.08 22:50  更新 : 2017.12.14 12:31

Sクラスのように典型的なセダン・レイアウトを採らないのは、インテリアを可能なかぎり拡大することによりラウンジのような空間を演出するためなのだそう。あくまで乗員を快適に目的地まで運ぶリビング・ルームとしての立ち位置であるため、自動運転時にはステアリングさえもダッシュボードに格納されるということだ。

全長×全幅×全高:5220×2018×1524mmというディメンションは、どれもロング・ホイールベースのSクラスより26mm/119mm/33mmずつ大きい。ホイールベースに至っては、室内空間を確保するためにさらに445mmも長くなっており、合計で3610mmにおよぶ。前後ともに ’超’ ショート・オーバーハングであることは、画像をご覧になれば一目瞭然である。

CFRP(炭素繊維強化プラスチック)とアルミニウム、構造用鋼を用いることにより、アルミニウムと構造用鋼を用いる従来のストラクチャーより40%軽くなる、というのが構造に関して明かされた情報。これだけでも驚くほど軽量であることが伺える。

フロント・ドアのヒンジを前に、リア・ドアのヒンジを後ろにもつ、いわゆる ’観音開き’ のスタイルを採用し、それぞれのドアは個別に開閉することができる。Bピラーがなくとも剛性を確保できるのは、一連のロック・システムがボディを強固に連結してくれるからなのだそう。

ドアに用いる素材は、横方向からの衝撃を吸収できるよう特殊な素材を用いる。また全てのドアは90°まで開くことができるため、乗り降りを不便に感じることはなさそうだ。

中を見渡せば、メルセデスのデザイナーが2030年に向けた超現代的なキャビンが広がる。なかでも自動運転時に360°回転し、後部座席のパッセンジャーと向い合って会話できるようになるシートはF015ならではのもの。また、白いナッパレザーやウォールナット材、ガラス、金属素材などをふんだんに用いるなど高級感の演出にも抜かりはない。

さらに未来的なところでいうと、ダッシュボードやリア/サイド・パネルに敷き詰められる6対のモニターなどがそれ。どのパネルもタッチはもちろんのことジャスチャーや眼球の動きで操作できるのだそうだ。これらを一括りに ’デジタル・アクティビティ・スペース’ と呼ぶ。

航続可能距離は約1100kmにおよぶというのは先述のとおりだが、その内訳として200kmがリチウムイオン・バッテリーが蓄える電力、900kmがフューエル・セルにより発生した動力によるのだそう。

2009年のフランクフルト・モーターショーで披露されたF125は136psと20.3kg-mを発生する2機の電気モーターをリアに搭載し後輪を動かしていたのに対し、今回のF015はトータルで272psと40.6kg-mを発揮する。

0-100km/hタイムは大型サルーンの定石どおり6.7秒をマークし、最高速度は200km/hとされ、発電をフューエル・セルに頼ることにより、外部からの給電を必要としないとメルセデスは主張する。

発電用水素は700barの圧力のもと5.4kgがタンク内に蓄えられ、このタンクは外部からの衝撃からも耐え得る構造になっている。100kmの走行あたり0.6kgの水素を消費し、ごく一般的なディーゼル・エンジンに例えると50km/ℓ程度の消費率となる。

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