ホンダ・グレイスEX

公開 : 2015.03.18 23:40  更新 : 2022.12.12 21:30

  • このクルマ、よく曲がる。それもきわめてナチュラルに曲がりたがる。

  • スポーティではないエンジン音と、切れ味に欠ける7速DCTの変速プログラムは残念。

おそらくはホイールベースとトレッド、車重とパワーのバランスがそうとうよいのだろう、と思わせる。このクルマ、よく曲がる。それもきわめてナチュラルに曲がりたがる。

1.5ℓエンジンは最高出力110psと13.7kg-mを発生する。これに29.5psとパワーはたいしたことないけれど、16.3kg-mという大トルクを発生する電気モーターが急加速時に加勢する。車重1200kgのフツウのサルーンとしては十分以上で、気持ちのよい加速感をもたらす。

ギア・レバーのドライバー側、右横にある、Sの文字の入った地味な四角いスイッチを押すと、スポーツ・モードに転じる。主にDCTのプログラムを切り替えるもので、ノーマル・モード時に較べ、1、2段ギアを落として、同じ車速でもつねに加速態勢に移れるようにエンジン回転をトルクバンドに引き上げる。だから、エンジンが控えめに唸り始める。アクセルを踏むと、あたかもモーターの出力まで上がったかのごとく、瞬発力が上がる。

それでも、スポーツ・サルーンである、と断言しにくいのは、ひとつにはアトキンソン・サイクルの1.5ℓ直4の音色がトヨタプリウスと同類であること、もうひとつは7速DCTのダウンシフト時のキレがトルコンATっぽいことゆえである。DCTがスパッとつながないのは、エンジンを守る方向の設定にしているからだ。まるでポルシェのティプトロニック時代のようである。高効率の直噴なので、回転が落ちないということもあるだろう。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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