タイヤ開発に独自性を発揮 ダンロップのパブリックイメージ(後編)【サイトウサトシのタイヤノハナシ 第19回】

公開 : 2026.04.15 12:05

タイヤの達人・サイトウサトシが、30年以上蓄積した知識やエピソードを惜しみなく披露するこのブログでは、各タイヤメーカーのパブリックイメージをおさらい中。第19回はダンロップの後編です。

サーキットにはダンロップ・ブリッジが

前回は、ダンロップの歴史をサラッとなぞるつもりで書きだしたのですが、だいぶ硬くなってしまいました。控えめに言って『波乱万丈のタイヤメーカー』です。

ダンロップは英国からその歴史から始まるのですが、日本におけるダンロップ、とくにボクがタイヤに触れるようになった1980年頃には、すでに日本のダンロップであり、ブリヂストン横浜ゴムとともに日本の3大タイヤメーカーの一角でした。

雨の日だけゴムが柔らかくなる新技術『アクティブトレッド』を搭載したシンクロウエザー。
雨の日だけゴムが柔らかくなる新技術『アクティブトレッド』を搭載したシンクロウエザー。    斎藤聡

ポテンザ(ブリヂストン)、アドバン(ヨコハマ)、フォーミュラ(ダンロップ)というハイグリップラジアルが登場したのも1980年前後でした。

当時、ボクは仲間と一緒に、ホモロゲの切れた日産B110サニーをただ同然で引き取ってきて、筑波サーキットで走らせていました。その時に履いていたタイヤが、初めはダンロップのバイアスレーシングタイヤのG5。その後ラジアル・セミレーシングタイヤのフォーミュラRを手に入れ、そのあまりのグリップの違いに驚いたことを今でも覚えています。

そもそもサーキットに行くと、ダンロップ・ブリッジというでかいアーチ(ブリッジ)があり、鈴鹿や菅生、筑波などのサーキットにはそのブリッジのかかったダンロップコーナーもあって、ダンロップ=レースのイメージを強く刷り込まれていたのでした。

フォーミュラ時代の市販タイヤで印象深いのは、フォーミュラRSVというハイグリップスポーツタイヤです。ディレッツァZ1から始まる新時代のハイグリップ系スポーツタイヤの前身です。

フォーミュラW1は、市販スポーツタイヤで、富士フレッシュマンレース・ロードスターレースのコントロールタイヤでした。じつはこのタイヤ、ウエットが大の苦手でした。ボクも1シーズン出場していたのですが、雨降らないかなあって思ってました(結局予選で1回降っただけでした)。

フォーミュラのブランド名は2003年にディレッツァに変わります。

プレミアム・ハイパフォーマンスの分野でも

だからといってダンロップは、スポーツゴリゴリのタイヤメ―カーというわけではありませんでした。

1988年に登場したSPスポーツD40M2は、日独共同開発を謳ったウルトラハイパフォーマンスタイヤで、ポルシェに純正装着されていました。

1990年代半ばから、ダンロップはタイヤ開発に独自性を発揮していった。
1990年代半ばから、ダンロップはタイヤ開発に独自性を発揮していった。    斎藤聡

それから1989年に登場したパフォーマ8000は静粛性と運動性能を両立したプレミアム・ハイパフォーマンスタイヤで、こちらもポルシェ959やBMW M5の指定タイヤとなっていました。

これらのタイヤには、欧州の匂いみたいなものがあり、国内だけではなく欧州を視野に入った世界観を持っていました。

1990年代半ばあたりから、ダンロップ(≒住友ゴム)はタイヤ開発に、いよいよ独自性を発揮していきます。

例えば、デジタルローリング技術=通称デジタイヤは、1998年から展開が始まったコンピュータを駆使したシミュレーション技術です。

代表的なタイヤとしては、ルマンLM701があります。ちなみにLM703は、タイヤ内スポンジを採用した最初のタイヤになります。

このほかにも、ダンロップのエコタイヤシリーズ=エナセーブは、低転がりの省燃費性能を上げる一方で、石油外天然資源によるタイヤ製造にも取り組んでいて、2008年に石油外天然資源比率97%のエナセーブ97を発売。さらに2013年には100%を達成しエナセーブ100を発売します。

記事に関わった人々

  • 執筆

    斎藤聡

    1961年生まれ。学生時代に自動車雑誌アルバイト漬けの毎日を過ごしたのち、自動車雑誌編集部を経てモータージャーナリストとして独立。クルマを操ることの面白さを知り、以来研鑽の日々。守備範囲はEVから1000馬力オバーのチューニングカーまで。クルマを走らせるうちにタイヤの重要性を痛感。積極的にタイヤの試乗を行っている。その一方、某メーカー系ドライビングスクールインストラクターとしての経験は都合30年ほど。

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