ランボルギーニのトップが初めて吐露した弱音(後編) 中東戦争をきっかけとする世界的混沌【不定期連載:大谷達也のどこにも書いていない話 #5】
公開 : 2026.04.18 12:25
エンジニアと自動車専門誌編集者という経歴で膨大な取材量を持つ大谷達也による、『どこにも書いていない話』を執筆する不定期連載です。第5回は、毎年右肩上りで販売台数を伸ばしているランボルギーニがテーマ。その後編です。
中東戦争を議論するのは時期尚早
アメリカの関税問題に畳みかけるようにして起きたのがアメリカ/イスラエルとイランの対立である。これについて、アウトモビリ・ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマン会長兼CEOはどのように受けとめているのか。
「いま、私たちが議論しているのは、今年に入ってから中東で始まった戦争のことです。これが中東の市場にどのような影響を与えるのか。また、戦争終結までにどれだけ時間がかかるかによって、私たちのビジネスに影響を及ぼすものと考えています」

ただし、その詳細について議論するのは時期尚早であるともヴィンケルマンは語った。
「今も申し上げたとおり、紛争がどれだけ長引くかによって影響の出方も変わってきます。たとえば、紛争が長引けば長引くほど、その影響は中東の経済だけに留まらず、全世界的に広がっていくでしょう。
これについては注意深く見守る必要がありますが、2026年の当社の業績にどの程度の影響を及ぼすかについては、現時点ではまだ答えられません。いずれにしても、紛争が早期に解決することを祈っています」
中東の紛争をきっかけとする世界的な経済危機といえば、1970年代のオイルショックが思い起こされる。このときはOPEC加盟のペルシャ湾岸諸国が原油価格を4倍近くまで引き上げ、日本を含む多くの国々で景気が冷え込むとともに、燃費のいいコンパクトカーへのシフトが世界規模で起きた。
国際経済の『健全さ』が与える影響
今回の紛争でも原油価格の影響が懸念されているが、こうした状況をランボルギーニはどのように捉えているのだろうか?
「石油製品の価格そのものが、私たちのビジネスに直接的な影響を与えるとは考えていません」とヴィンケルマン。

「それよりも国際経済の『健全さ』のほうが、私たちの業績に与える影響は大きいと考えています。私たちの顧客の多くは企業家であったり経営者であったりします。彼らもこの世界で暮らしている以上、世界的な景気の動向には何らかの影響を受けるものです」
つまり、ガソリン代が上がったからといってランボルギーニの売り上げが即座に落ち込むわけではないが、景気全般が悪化していけば、富裕層の消費活動にもいずれは悪影響を及ぼすとヴィンケルマンは考えているのだ。
「もうひとつ、顧客の感情的な側面にも注目する必要があります。私たちの製品は、決して暮らしに必要なものではありません。たとえば自分へのご褒美として、自分の子供のように愛する対象として、さらにはコレクションとしてランボルギーニを購入されるお客さまが多くいらっしゃいます。
そういった方々が『今はラグジュアリー製品を買う時期ではない』と判断されれば、私たちのセールスにも影響を及ぼします。似たようなことはコロナ禍の直後にも起きました。また、単に原油価格だけでなく、たとえばガスなどのエネルギー価格全般が世界経済に影響を与えるものと考えています」
















