ジープ85周年記念モデルが『ラングラー・ルビコン』である意味 伝わってくる本気と本物感 多くのSUVとは出自が異なる【森口将之が解析】

公開 : 2026.09.14 11:45

走っているときの骨太感は日本車と別物

現行型は、日本仕様の仕立ても改善された。右奥にあったアクセルペダルが中央寄りに移され、ハンドルの切れ角も大幅に増やされている。とはいえ走っているときの骨太感は、日本車とは別物。太くて重いシャフトを回しながら走っている様子が伝わってくる。

直進性については、まっすぐ走る意志は強固だが、フロントのリジッドアクスルの動きに、マッドテレインのタイヤもあって、ビシッとはしていない。このあたりは僕がかつて乗っていたチェロキー(日本で大ヒットしたXJ系)から大きく変わっていない。

エンジンは他の現行ラングラーと同じ2L直列4気筒ターボを搭載。
エンジンは他の現行ラングラーと同じ2L直列4気筒ターボを搭載。    神村聖

後輪駆動の2Hから、電子制御センターデフが稼働する4Hオートに切り替えても、舗装路では前輪にはそれほど強く駆動がかからないようなので、雨の高速道路などでステアリングの手応えを求めるなら、4Hパートタイムを選ぶという手もあるだろう。

好きになれば、他のSUVでは物足りないと感じる

乗り心地もまた独特だ。タイヤ自体は硬いけれどエアボリュームが大きく、バネとダンパーも大入力を想定したセットだが、フレームとボディの間でもショックを吸収するため、直接的な衝撃はそれほど伝わってこない。サスペンションはあまりストロークしていないのにダイレクトなショックがないという感触になる。

ステアリングは今や希少なリサーキュレーティングボール式。これに前述のシャシーやタイヤが加わるので、ハンドリングのタッチも独特だ。ただしそのタッチに慣れれば意外に素直だし、この味が好きになれば、他のSUVでは物足りないと感じるはず。

専用の『85th』デカールはブルー・アガベとなっている。
専用の『85th』デカールはブルー・アガベとなっている。    神村聖

今回は残念ながらオフロードを走る機会はなかったが、スタンダードのルビコンでの経験はある。

専用のマッドテレインタイヤ、ローレンジのギア比を4:1まで大きく取った4Lレンジ、前後デフロック、フロントサスペンションのスタビライザーを切り離すディスコネクト機能など、機能の多くは電子制御に頼らず、メカニカルにこだわっている。

だから乗り手のテクニックが走破性に正直に反映される。誰もが簡単に高度な走破性を手に入れられるわけではない。経験を重ねていくほどレベルアップしていく。ケータハム・セブンでワインディングロードを駆ける歓びに通じるものがあるのだ。

85thアニバーサリーエディションのベースにルビコンを選んだ。これだけでジープの本気が伝わってくるし、ラングラーが本物であることを痛感する。日本車で似たようなポテンシャルを備えたSUVはあるけれど、この手応えはラングラーでなければ味わえない。

ジープ・ラングラー85thアニバーサリーエディション 特別装備の内容

●エクステリア
専用『RUBICON』デカール(ブルー・アガベ/ブロンズアクセント)
専用17インチアルミホイール(スチール・オキサイド塗装)
専用『85th』デカール(ブルー・アガベ)
専用『TRAIL RATED』バッジ(ブロンズ)
専用リアトーイングフック(ブロンズ)

●インテリア
専用プレイド(チェック)柄インストルメントパネル・インサート
専用プレイド(チェック)柄シート(85thタグ付)
専用バーバー織りフロアマット
専用『85th』ロゴ付シフトレバー・メダリオン
専用『85th』ロゴ付きテールゲート・プレート

ジープ・ラングラー85thアニバーサリーエディションの価格は944万円。10月3日より100台限定販売となる。
ジープ・ラングラー85thアニバーサリーエディションの価格は944万円。10月3日より100台限定販売となる。    神村聖

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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