ジープ85周年記念モデルが『ラングラー・ルビコン』である意味 伝わってくる本気と本物感 多くのSUVとは出自が異なる【森口将之が解析】

公開 : 2026.09.14 11:45

1941年、米国陸軍が実施した軽量偵察車の入札で選ばれた『ウィリスMB』から数えて、今年はジープ85周年にあたります。100台限定の特別モデル『85thアニバーサリーエディション』を、森口将之が取材しました。

今年はジープが生まれて85周年

1941年、米国陸軍が実施した軽量偵察車の入札で選ばれた『ウィリスMB』は、第二次世界大戦において連合国側の勝利に大きく貢献した。戦後になると民間向けのシビリアンジープ(CJ)として市販が始まり、ステーションワゴンのワゴニアや、ピックアップトラックのグラディエーターなどを、順次ラインアップに加えていく。

つまり今年は、ジープが生まれて85周年。今では横置きパワートレインを採用したレネゲードやコンパスのようなモデルも選べ、アヴェンジャーをはじめとして電動化も進めている。それでもジープがジープであり続けている最大の理由は、『ラングラー』を作り続けているからではないだろうか。

100台限定の特別モデル、『ジープ・ラングラー85thアニバーサリーエディション』を取材。
100台限定の特別モデル、『ジープ・ラングラー85thアニバーサリーエディション』を取材。    神村聖

しかもただ生き続けているだけでなく、ラダーフレームに前後リジッドアクスルを組み合わせたサスペンション、副変速機を内蔵したトランスファーなど、本格的なクロスカントリービークルとしての基本構成を頑なに守り続けている。

100台限定で設定された特別モデル

この85周年を記念して、100台限定で設定された特別モデルが『ジープ・ラングラー85thアニバーサリーエディション』だ。卓越したオフロード性能を誇る『アンリミテッド・ルビコン』をベースに、数々の専用装備を採用している。

エクステリアでは、長年使い込まれたアウトドアギアを思わせるスチール・オキサイドに塗られたアルミホイールが、ブラックのボディと組み合わせられる。とはいえ伝統の7スロットグリルをはじめ、それ以外の部分はラングラーそのまま。さりげない手の入れ方、わかっているなあと思う。

リアゲートを開くと、歴代の7スロットグリルを描いた記念プレートが現れる。
リアゲートを開くと、歴代の7スロットグリルを描いた記念プレートが現れる。    神村聖

インテリアはシートやインパネの一部に、アメリカのアウトドアカルチャーから着想を得たチェック柄のファブリックを採用している。長い歴史の中から自由にトレンドをピックアップした自由さがアメリカらしい。

ビジュアルだけで乗るにはクセ強の1台

とはいえラングラー、こういったビジュアルだけで乗るには、クセ強の1台でもある。ドアの開口部は狭く、フロアやシートは高い。サイドステップは悪路で邪魔になるのでなし。スズキジムニートヨタランドクルーザー70より、文字どおり敷居が高い。だからこそスマートに乗り降りできること自体が、カッコよさになるはずだ。

垂直に近く顔にも近いウインドウスクリーン、奥行きの短いインパネ、樹脂製ルーフと内側に張り巡らされたロールゲージも、多くのSUVとは出自が違うと感じる。

アメリカのアウトドアカルチャーから着想を得たチェック柄ファブリックを採用。
アメリカのアウトドアカルチャーから着想を得たチェック柄ファブリックを採用。    神村聖

エンジンは他の現行ラングラーと同じ2L直列4気筒ターボ。排気量だけ見ると不足に思えるかもしれないが、実はラングラーは重くない。ベースモデルでは2tを切っており、低回転からしっかり力を出すチューニングに、的確にギアを変える8速ATのおかげもあって、自在に速度を上げていける。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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