マツダのラージSUV『CX-60』と『CX-80』に感心した話(後編) 初代『CX-5』から始まる時代の集大成となる可能性【日本版編集長コラム#98】

公開 : 2026.09.06 12:05

AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、『日本版編集長コラム』です。最近乗ったクルマの話、取材を通じて思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第98回はマツダのラージSUV『CX-60』と『CX-80』の話、その後編です。

一番感心した、インターフェイスの使いやすさ

さて今回、マツダのラージSUVである『CX-60』と『CX-80』のPHEVと両車合わせて2600kmほど過ごして一番感心したのは、インターフェイスの使いやすさだった。ひとことでその魅力を書けば、『あって欲しい場所にその機能がある』のだ。

具体的には、バッテリーを強制充電するチャージモードとドライブモードの切り替えスイッチをそれぞれシフトノブ近くに配したこと、室内灯の点灯をドア開閉と連動させるスイッチに暗くても見える小さなランプがあること、手元のダイヤルと周辺のスイッチで大まかな基本的な操作が完結すること、などである。

取材車の『マツダCX-80PHEVプレミアムスポーツ』。ロングボディで3列シートとなる。
取材車の『マツダCX-80PHEVプレミアムスポーツ』。ロングボディで3列シートとなる。    平井大介

これらは当たり前のように聞こえるかもしれないが、場所がわかりにくかったり、ブラインドで操作ができなかったり、不親切に感じるクルマは意外と多いのだ。

なお3月の商品改良ではアップルカープレイとアンドロイドオートにタッチパネル機能が追加されたが、これもダイヤル操作で事足りていた。個人的には指紋などで汚れやすいタッチパネルが苦手で、できれば物理スイッチで操作したいと思っている。

また、アップルカープレイとアンドロイドオートの切り替えがトップ画面にあるのも、私用と仕事用で両者を使い分けている筆者としてはありがたかった。ちなみにここまで簡単に切り替え可能なインターフェイスは、今のところマツダ以外で出会ったことがない。

普通充電の性能もちょうどよかった。何度か0%から充電したのだが、4時間半ほどでフル充電が可能となり、航続可能距離は50km超といったところ。

ただし高速道路に乗るとバッテリーはすぐ空になるので、長距離移動が多いユーザーはディーゼルのほうがよさそうだが、街中メインで自宅に充電環境がある使い方なら、現実的な落としどころと言えそうだ。

日本人が作ったクルマらしく細かいところに目が届いている

振り返ると、インターフェイスで最初に感心したのは、アームレスト下側のグローブボックス内にあるUSBタイプCの差込口からコードを外に出す際に、蓋でコードを潰さないよう、ガイドとなる凹みがあるのを発見したことだった。

これに代表されるように、日本人が作ったクルマらしく細かいところに目が届いている『考え抜かれた熟成インターフェイス』だと感じた。いずれも人間中心で考えられている気がして、好感と共感を強く覚えたのである。

一方の『マツダCX-60PHEVプレミアムモダン』。こちらは標準ボディで2列シートとなる。
一方の『マツダCX-60PHEVプレミアムモダン』。こちらは標準ボディで2列シートとなる。    平井大介

惜しいと感じたのは純正ナビの使い勝手と、CX-80の2列目シートが思ったよりも倒れなかったことくらい。ここまで書きそびれてきたが、ボディサイズのわりに街中での取り回しがいいことも見逃せない部分だ。

一方で全ての先入観や知識を取り除いて見た時に、素直にカッコイイと思えるデザインはやはり魅力的だ。エクステリアのプロポーション、内外装の色の使い方、メーターグラフィックなど、抜群にセンスがいいと思っている。

しかしこれらは、若干言葉を選んだ書き方をすると『多くの人から理解されるのに時間がかかる』部分だろう。クラス的には高級車であるが、価格的にはそこまでではない。今回の取材車である『CX-60PHEVプレミアムモダン』は649万5500円、『CX-80PHEVプレミアムスポーツ』は714万4500円となっている。

そのため、これまでマツダを支持してきた人には少し高く、このクラスを検討する層からすると少し安いこともあり、高級感、ブランド力が足りない。また、クルマはよくなっていても、最近売れまくっているテスラのようなわかりやすさはないのである。

そんな状況はマツダも理解しているのだろう。現在は販売に対する構造改革の真っ最中で、ブランド力の向上を試みており、それは少なからず結果も出ているようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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