オースチン・ミニ・クーパー / フォード・エスコート 1300GT(2) 現代の小型車では得難い刺激 実際の2倍のスピード感

公開 : 2026.09.13 17:50

平均的な労働者でも一緒に暮らせた、ヒーロー的な高性能モデル、オースチン・ミニ・クーパーとフォード・エスコート 1300GT。UK編集部が、1960年代に支持された2台を振り返ります。

現代のコンパクトカーにはない刺激

フォード・エスコート 1300GTのギア比はショートで、発進してまもなく3速へ。リズミカルにシフトアップでき、実際はさほど速くなくてもスピード感は高い。もっとも、現代のハッチバックと互角に張り合える加速力は秘めるけれど。

リアがリーフスプリングにも関わらず、乗り心地は想像以上に快適。重心が高めでボディロールは小さくなく、グリップの限界は予想より低めでも、挙動は手懐けやすい。ステアリングはダイレクトで、ドライバーの意図へ素直に反応してくれる。

フォード・エスコート MkI 1300GT(1967〜1971年/英国仕様)
フォード・エスコート MkI 1300GT(1967〜1971年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

にぎやかなエンジンは、アクセルペダルを倒すたびにバルブトレインが唸るものの、興奮を誘う響きではない。それでも、現代の小型車では得難い刺激に満ちている。

徹底した機能美の否定し難い魅力

オースチンミニ・クーパー MkIIへ乗り換えると、さっきまでの体験がリセットされるよう。体を屈めてシートに腰掛け、バスのように寝たステアリングホイールを抱える。

MkIIではリアウィンドウが拡大されたが、簡素なインテリアは徹底した機能美にある。ダッシュボード中央に、速度計が目立つ小さなメーターパネルが載り、ドア側にはジンのボトルが入るほど大きいポケット。否定し難い、不思議な魅力に溢れている。

オースチン・ミニ・クーパー MkII(1967~1969年/英国仕様)
オースチン・ミニ・クーパー MkII(1967~1969年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

フロントで唸るAシリーズ・ユニットは、由緒正しき洗練性にはない。アイドリング時は、ボディ全体を細かな振動とノイズが包む。排気音はエスコートよりドライで好ましいが、加速すればギアの唸りにかき消される。

ギア比はこちらもショートで、次々とシフトアップ。4速MTとエンジンが温まるまで、シフトレバーの動きは渋くギアの入りも悪い。しかし、暖気が終われば鋭敏に吹け上がり、低いギアでは意欲的にボディを引っ張る。

中毒性があるミニ・クーパーの運転体験

サスペンションは、ソフト志向なハイドロラスティックでも、乗り心地に落ち着きはない。舗装の継ぎ目だけでなく、路面に落ちている小石の存在まで伝わるようだが、ミニ・クーパーの運転体験には中毒性がある。

ロータリー交差点へ飛び込めば、ステアリングは以心伝心。遊びは殆どなく、イメージした通りにボディが旋回していく。タイヤは、驚くほど粘り強くアスファルトを掴む。アンダーステアが出たら、アクセルペダルを一気に戻し、オーバーステアを誘える。

オースチン・ミニ・クーパー MkII(1967~1969年/英国仕様)
オースチン・ミニ・クーパー MkII(1967~1969年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

エスコートは流れるようにカーブをすり抜けるのに対し、ミニはキビキビと鋭く向きを変える。スピード感は、実際の2倍。高速道路で110km/hまで加速すれば、大気圏へ再突入した宇宙船のように、轟音へ包まれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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