庶民が一緒に暮らせたヒーロー オースチン・ミニ・クーパー / フォード・エスコート 1300GT(1) 2台が与えたささやかな興奮
公開 : 2026.09.13 17:45
平均的な労働者でも一緒に暮らせた、ヒーロー的な高性能モデル、オースチン・ミニ・クーパーとフォード・エスコート 1300GT。UK編集部が、1960年代に支持された2台を振り返ります。
もくじ
ー平均的な労働者が一緒に暮らせたヒーロー
ー通常のミニより約2割高いだけだったクーパー
ーレジェンドとなった専用エンジンのツインカム
ー割高感は殆どなかったエスコート 1300GT
ー1960年代後半らしいスポーティな雰囲気
平均的な労働者が一緒に暮らせたヒーロー
1960年代末、英国の街角はラリー・イベントのサービスパークのようだった、というのは大げさかもしれない。だが、オリジナルのミニ・クーパーが甲高い唸りで角を曲がったかと思えば、初代フォード・エスコートは吸排気音を響かせて通りを駆け抜けた。
シェルビー・マスタングや三菱ランサー・エボリューションも、遥かに高価なマシンを凌駕した庶民のヒーローと呼べる。しかし、簡単に手が届く価格だったわけではない。

ところが今回の2台、オースチン・ミニ・クーパー MkIIとフォード・エスコート1300 GTは、普通のクルマ好きが現実的な予算で買うことができた。平均的な労働者へささやかな興奮を与えた、一緒に暮らせるヒーロー的存在といえた。
能力を高めたレシピは、2台とも似ている。ラインナップ最大級のエンジンをボンネットに押し込み、相応にシャシーへ手を加え、ボディにもスパイスが効かされた。先行したのは、オースチンを擁するBMCの方だったが。
通常のミニより約2割高いだけだったクーパー
オリジナルのミニ MkIへ、専用エンジンのクーパーが加わったのは1961年。ツインキャブレターを載せた、ロングストロークの997cc Aシリーズ・ユニットが与えられ、最高出力は55psが主張された。インテリアは差別化され、ブレーキは前がディスクだった。
1967年にMkIIへアップデートされると、上級モデルのウーズレー・ホーネットなどを前提に開発された、スクエア型の998cc Aシリーズ・ユニットへ変更。最高出力は同じ55psでも、滑らかに回り、より低い回転数から発揮された。

他モデルとのエンジン共有でコストダウンされ、通常のミニより2割ちょっと高い価格での販売が可能となった。実用性はそのまま、パートナーへ後ろめたさを感じることなく、「クーパー」を注文できたといえる。
他方、高回転型の1275ccエンジンを搭載した、さらに特別なミニ・クーパーSも登場。こちらのお値段は通常の2倍と憧れの対象だったが、オースチンのステーションワゴン、A60 カントリーマンと同等ではあった。
レジェンドとなった専用エンジンのツインカム
フォードが、BMCと似たアイデアへ着手したのは、1960年代後半。他社が先行する展開を見極めつつ、綿密に練ったモデルを市場へ投入するという「2番手」的な戦略が、常套手段となっていた。
1967年にリリースされたフォード・エスコート Mk1は、当初から多様なトリムグレードが設定された。その中で、クーパー Sのような訴求力を放ったのが、エスコート・ツインカム。後にラリーで大成功を収め、レジェンドとなった。

これには専用エンジンが与えられ、お値段はベースグレードの約2倍。数年後に後継仕様として投入されるエスコート RSと同様に、生産工場まで異なった。























































































































