【休日クラシック・ポルシェ・アーカイブ #37】1984年ポルシェ911カレラ3.2(後編)「絶え間ない進化により多くのライバルを凌ぐ性能を維持」

公開 : 2026.09.13 09:11

世界的な人気モデルとして支持され、サーキットでも数えきれぬ栄光の記録を刻んできたポルシェ。日曜日の午前9時11分に公開する、そんなポルシェの足跡を膨大なアーカイブと共に振り返る連載です。#37は『1984年ポルシェ911カレラ3.2』の後編です。  

年次による変更点

新世代の911として、1983年9月のフランクフルト・ショーで発表されたポルシェ911カレラ3.2の基本設計はオリジナルの911を踏襲していたが、絶え間ない進化により多くのライバルを凌ぐ性能を維持していた。折からのデジタル化と機構的進化と相まって。年次改良が数多く施されたのが特徴といえる。ここからは各年次モデルごとに紹介していこう。

1984年モデル

新たに『M491ターボ・エキップメント・パッケージ』がオプションで設定された。これは俗に『ターボルック』と呼ばれるノンターボの911カレラ3.2にターボモデルの外観を与えるオプション・パッケージとなる。

911カレラ3.2には、クーペのほかタルガも用意された。
911カレラ3.2には、クーペのほかタルガも用意された。    ポルシェ

このパッケージは、ワイドなホイールアーチや特徴的なティートレイ型リアスポイラーを備え、930ターボのような外観とスタイルを911カレラ3.2で実現できた。

『M491パッケージ』は外観だけではなく、ターボモデルと共通の強化サスペンションや高性能なブレーキシステム、そしてワイドなホイールも含まれていた。

いくつかの重要な改良を実施

1985年モデル

いくつかの重要な改良が施された。ダンパーがボーゲ製に変更。フロントスポイラーは、オイルクーリングダクトを目立たぬように収める形状に変更。

インテリアではシートが一新され、電動調整機能が備わった。

1986年モデル

『M491ターボ・エキップメント・パッケージ』は、1986年モデルからカブリオレでも選べるようになり人気を博した。
『M491ターボ・エキップメント・パッケージ』は、1986年モデルからカブリオレでも選べるようになり人気を博した。    ポルシェ

サスペンションではアンチロールバーが強化され、フロントが20mmから22mmへ、リアは24mmから25mmに拡大。あわせてショックアブソーバー、リアトーションバーはすべて新設計となった。

シートの取り付け位置が下げられて、ヘッドルームを拡大。カブリオレのソフトトップ昇降は電動モーター式となり、スイッチ操作で開閉できるように進化した。

また、ダッシュボードのエアコン吹き出し口の大型化が行われている。

当初はクーペのみの設定だった『M491ターボ・エキップメント・パッケージ』だが、1986年モデルからはカブリオレ、タルガでも選択できるようになった。

エンジンとトランスミッションに大きな変更

1987年モデル

1987年モデルでは、エンジンとトランスミッションに大きな変更が加えられた。アメリカと日本仕様のエンジンは、無鉛プレミアム・ガソリンに対応するように変更され、最高出力は217hpに向上。

これまで使用してきたポルシェ・シンクロメッシュを備える915型トランスミッションは、ボルグワーナー製シンクロメッシュを採用するゲトラグ製のG50型へと置き換えられた。

俗に『ターボルック』と呼ばれる『M491ターボ・エキップメント・パッケージ』がオプションで設定された。
俗に『ターボルック』と呼ばれる『M491ターボ・エキップメント・パッケージ』がオプションで設定された。    ポルシェ

この新型トランスミッションは、従来のケーブル式に代わり油圧式クラッチを採用し、ニュートラル位置のセンタリング・スプリングも備わるようになった。シフトストロークが大幅に改善され、シフトゲートの感触もより明確となったのが特徴といえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

休日クラシック・ポルシェ・アーカイブの連載

連載をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

Google検索で『AUTOCAR JAPAN』の記事を見つけやすくする方法